第一章
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三人一組
水島拓篤、寺田雄輔、小池美由紀の三人で探偵事務所を営んでいる。
拓篤は冷静で知的でだ、事務所の所長でもある。眼鏡がよく似合う青年だ。
雄輔は大柄で筋肉質、ラガーマンを思わせる顔立ちで活動派だ。そして由紀は小柄で茶色にした髪をショートにしているいつもジーンズの活動派、ムードメーカーだ。
この三人が探偵事務所をしている、その事務所の中でだ。
雄輔が自分の席、ダンベルが上にある電話に出てからだ、二人に言った。
「仕事来たぜ」
「浮気調査?」
由紀は自分の席で週刊少年マガジンを読みながら応えた。
「いつもの」
「いや、もう一つのいつもの依頼だよ」
「迷い犬か迷い猫を見付ける方ね」
「そっちだよ、猫な」
「そう、じゃあ受けるのよね」
「連絡先は聞いたからな」
依頼主のとだ、雄輔は由紀に言った。
「これから相談だがな」
「それはもう決まりでしょ」
由紀は実にあっさりと言った。
「お仕事がないと食べられないんだから」
「その通りだ」
所長の席からだ、拓篤も言う。席にはランボーの詩集がある。
「僕達も霞を食べて生きてはいない」
「俺なんかいつも三人分食ってるしな」
「君は食べ過ぎだ、しかしだ」
あらためてだ、拓篤は言った。
「実際に仕事があるならだ」
「受けるってことだな」
「そうだ、どんな仕事でもな」
「そういうことだな、じゃあ相手さんには俺が返事をしておくな」
「受けるとだな」
「そうするさ、仕事があるってことはいいことだ」
「そういうことよね」
由紀も笑って言う。
「お仕事があるから食べられる」
「そうさ、探偵っていってもな」
「事件の解決とかないけれど」
「そうした話はない」
生真面目な声でだ、拓篤は言い切った。
「現実は推理小説とは違う」
「そうそう」
「探偵の相手は浮気と動物だ」
「そういうのよね」
「ではその迷い猫を見付けよう」
「お話を聞いてね」
その依頼主のだ、実際に雄輔が返事をしてだった。
そのうえで依頼主に事務所まで来てもらった。依頼主は若い端正な顔立ちの青年だった。青年は困った顔で事務所で三人に話した。
「マンションに帰って扉を開けましたら」
「そこで、ですか」
「扉から出ちゃったんですよ」
その猫がというのだ、青年は雄輔に話した。仕事の話をするソファーの場所に三人は座ってそのうえで向かい側のソファーに座っている青年とテーブルを挟んで対している。拓篤が中央で雄輔が右、由紀が左だ。それぞれの前には由紀が入れたコーヒーがある。
「慌てて追いかけましたけれど」
「捕まらないで」
「はい、それで」
まさにというのだ。
「逃げられて」
「それで、ですか」
「ここにお願いに来
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