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高嶺の花
第三章

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「それはな」
「僕が内気だから」
「そういうの無理だろ」
「ううん、それはね」
「そっちも努力するか?」
「出来たら」
「じゃあそうしろ、とにかくな」
 あらためてだ、マルティンはハンスに言った。
「高嶺の花って思うのなら」
「そうだよ、努力しろよ」
「それじゃあね」 
 ハンスは確かな声でだ、マルティンに頷いてだった。そうして実際に勉強にボランティアに信仰に努力をして。
 そしてだ、それからだった。
 苦手なスポーツにも努力をした、ランニングやサーキットをしてだった。
 体型は変わらないがそちらも努力した、そうしていって。
 友人達にだ、今度はクラスで話をした。
「どうかな、最近の僕は」
「よくはなったな」
「前よりもさらにな」
「少なくとも悪くないさ」
「いい感じだよ」
「そうなんだね、じゃあ」 
 友人達の言葉を受けてだ、ハンスは言った。
「もう少し努力して」
「ああ、告白だな」
「御前言ってたけれどな」
「そっちも努力するんだったな」
「そう言ってたな」
「何とかね」
 必死の声でだ、ハンスは友人達に話した。
「そっちも練習していたし」
「告白の練習か」
「それしていたんだな」
「そっちの方も」
「だからね」
 それで、というのだった。
「やってみるよ」
「そうか、じゃあな」
「そっちも本当に頑張れよ」
「そしてな」
「ヒルダちゃんをな」
「ゲットしてみるよ」
 ハンスは意気込みを見せて話した。
「絶対にね」
「ただな」
 ここでだ、マルティンは首を少し傾げさせてだった。こうハンスに言った。
「何かな」
「何かって?」
「いや、今の御前はな」
「足りないかな、まだ」
「御前この前のテスト何位だった」
 まずは学校の成績のことからだ、マルティンは尋ねた。
「そっちは」
「六番だったよ」
「学年全体でな、それに教会から褒められただろ」
「休日いつも教会で働いてボランティアしてたら」
「そうだろ、それが学校にも話がいってな」
 それでというのだ。
「表彰もされてな」
「あのことだね」
「スポーツもよくなってな」
 体型は確かに変わらないがだ。
「だからな」
「それでかな」
「ああ、だったらな」
 それならというのだ。
「もうな」
「もう?」
「向こうがどう思うか、だな」
 マルティンは難しい顔でこうも言った。
「それだな」
「向こうってヒルダちゃんが」
「そうだよ、それが問題だな」
「僕はまだまだかな」
「どうだろうな、まあとにかくだな」
「まだ全然だと思うけれど」
 それでもというのだ、実はハンスはもういてもたってもいられなくなっていたのだ。キューピットの弓矢に射られたせいで。
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