第四章
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「何だあの炎は」
「それに煙は」
「ランカスターが昼に来ただけじゃない」
「あの炎と煙はなんだ」
ランカスターは確かにだ、アメリカ軍のBー17と比べると撃墜されやすい。それでドイツ本土への爆撃も夜間を担当しているのだ。
その彼等が昼間に来たことも驚きだった、しかし。
その爆弾の一撃だけでだ、ティルピッツが揺れ動いたのを見て驚いたのだ。
「たった一発の爆弾でか」
「流石に一発位は当たるが」
見れば三十機以上いる、基地爆撃には少ないが戦艦一隻を狙うには多い。
「しかしだ」
「その一発でああなるのか」
「一体どういった爆弾だ」
「恐ろしい爆弾ではないのか」
こう言うのだった、しかし。
爆弾を命中させたイギリス軍の面々は会心の声で言っていた。
「やったな」
「ああ、一発だけ当たったが」
「その一発で充分だ」
「この爆弾はな」
こう言い合うのだった、その大破炎上しているティルピッツを見て。
「まさに一発でも沈める為の爆弾だ」
「それが当たったんだ」
「流石のティルピッツでもまともでいられるか」
「これでティルピッツも終わりだ」
「少なくとも二度と動けないぞ」
こう言い合ってだ、機内で歓声をあげながら基地を後にしていた。彼等はソ連の方に翼を戻していた。その彼等を見てだ。
先程水兵達に言っていた士官は苦々しい顔でだ、水兵達に言った。
「どうやらイギリスから来ないでな」
「はい、ソ連からですね」
「あそこから来ていましたね」
「そうだったな」
こう言うのだった。
「流石に本土からは遠いか」
「それで、ですね」
「わざわざソ連まで行ってですね」
「そこから爆撃をした」
「そういうことですね」
「やってくれる、しかし」
士官はあらためてだ、激しく炎上するティルピッツを見て言った。
「たった一発でだ」
「はい、そうですね」
「たった一発の爆弾で」
「あの幾ら爆撃を受けても沈まなかったティルピッツがです」
「あれでは」
「もうあの損害ではな」
それこそと言う士官だった。
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