暁 〜小説投稿サイト〜
孤独の女王
第三章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「数が少ないぞ」
「そういえばそうですね」
「数機しかいませんね」
「基地を攻撃するならより多い筈ですが」
「それが」
「だとすると」
 このことからだ、士官は言った。
「目標はやはり」
「ティルピッツですか」
「あの戦艦ですか」
「そうだな、しかしだ」 
 士官はこうも言った。
「艦載機で低空から攻撃するならともかく」
「はい、ああした空軍の戦略爆撃機で攻撃するとなると」
「相当難しいですが」
「日本海軍は出来ましたが」
「イギリス海軍に出来るでしょうか」
「ランカスターは爆弾の搭載量と航続距離だけだ」
 この二つだけが秀でている爆撃機だというのだ。
「防御用の武装も装甲も弱い」
「撃墜しやすういです」
「正直ここに確か航空戦力があれば用意に撃墜出来ます」
「そのランカスターで来ても」
「ティルピッツを沈められるでしょうか」
「ランカスターの搭載出来る爆弾の直撃を受けてもだ」
 士官はさらに言った。
「何発かなら耐えられる」
「そうですよね」
「ティルピッツなら」
「魚雷攻撃ならともかく」
「艦載機での攻撃も特にでしたし」
「幾らランカスターでも」
「流石にティルピッツを沈めることは」
 相当なことでもない限り無理だろうとだ、水兵達も思った。それでだった。
 彼等は損害は受けても今回は沈められないだろうと思っていた、しかし。 
 ランカスターの乗員達はだ、機内で決死の顔でいた。
 そしてだ、機長が乗員達に言っていた。
「いいな、これからだ」
「はい、ティルピッツをですね」
「沈める」
「絶対にですね」
「俺達の手で」
「これまで誰も出来なかったがな」
 ティルピッツを沈める、そのことがというのだ。
「それをだ」
「俺達がですね」
「するんですよね」
「これから」
「ああ、そうだ」
 その通りというのだった。
「絶対に直撃させるぞ」
「わかりました」
「やりましょう」
「じゃあ必ず」
「何としても」
「この日の為に訓練をして何度もミーティングもしてきた」
 機長は自ら操縦しつつ真剣な顔で言った。
「それならな」
「当てましょう」
「そして沈めましょう」 
 乗員達も言う、そしてだった。
 彼等は空からランカスターの上に近付いてだ、そのうえで。
 爆撃手が狙いを定めてだ、それからだった。 
 爆弾を投下した、爆弾は一つだったが。
 その爆弾が直撃するとだ、その一撃でだった。
 大きな爆発が起きてだ、ティルピッツは大きく揺れた。その揺れを見てだった。
 ドイツ海軍の者達が口々に驚いて言った。
「何っ!?」
「何だあの爆発は!」
「ティルピッツが揺らいだだと!」
「あのティルピッツがか!」
 まずはこのことに驚いた、そして。
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ