第四章
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「もうね」
「将軍も王子も死んで」
「ダイナマンが生き残った」
「こう言うとよくないけれど」
「作品的にはいいわね」
こうした特撮で悪役が勝つとかはないことはわかっていた、時代劇でもそうだけれど世に悪が栄えた試しはない。
「これでね」
「何もかもが終わったわね」
「ええ、お互いにね」
私達はこう言い合った、そして私達の小さな浮気、誰も咎めなかったスキャンダルは終わった。けれどそれから。
バイオマンがはじまるとだ、今度はだった。
二人でだ、敵の首領のドクターマンを観てだった。
その独特の雰囲気に魅せられてだ、二人で言い合った。
「ドクターマン様よくない?」
「もう様付けしないとね」
そこまでの雰囲気があった。
「あの人は」
「格好いいわよね」
「孤高って感じがしてね」
「着ている服もね」
それもだった。
「似合ってて」
「ダンディよね」
「演じている人もね」
「格好いい感じでね」
敵役だけれど格好よかった、このキャラクターも。
それで私達は今度は同じ人を好きになった、それで二人で毎週観ていたけれど。
その私にだ、彼はまた言った。
「今度はドクターマンに浮気か?」
「様付けしてね」
「そこまで好きなんだな」
「あの人もね」
「やれやれだな、けれどな」
「けれど?」
「それも浮気か?」
笑って私に問うてきた。
「やっぱり」
「そうなるわね」
「全く、またスキャンダルか」
「私ってスキャンダルな女みたいね」
「それも悪い奴ばかり好きになるな」
「危険な女なのね」
くすりと笑って言った。
「そうだったのね」
「そうなるか?とにかく今度はバイオマンか」
「こっちも面白いわよ」
「俺あの禿げた人が好きだな」
「ああ、ストロング金剛さんの」
「何かな、あと実はな」
ここでだ、彼は私にこんなことを言った。
「俺去年はダイナピンク好きだったんだよ」
「あれっ、あんたも浮気してたの」
「そうなるな」
「ふうん、まあいいわ」
彼の浮気を聞いてもだ、私はくすりと笑って返した。
「許してあげる」
「というかお互い様だな」
「そうね、お互い浮気者ね」
「全くだな」
二人で笑いながらこんな話をした、これが私の中学時代で。
今はニンニンジャーのレッドの子に夢中だ。相変わらず私はスキャンダルを楽しんでいる。小さな浮気をして。結婚して子供が大きくなった今でも。
少しだけスキャンダル 完
2015・7・11
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