第2章:埋もれし過去の産物
第44話「心の傷」
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て装飾された家。
ささやかではあるが、きっちり葬式は済ます事になっている。
僕も入院しているけど車椅子で参加した。
「緋雪ちゃん....。」
「緋雪....。」
...参加したのは、高町家、月村家、バニングス家など、知り合いの家族や、他には魔法関連の人達。....皆、話を聞きつけて来れる人は来たようだ。
「....優輝、大丈夫か?」
「...クロノか...。...無事に見えたら、お前の目は節穴だぞ。」
「.....だろうな。」
クロノが僕を心配して声を掛けてくれる。
ちなみに、クロノは執務官の身でありながら、態々急遽有休を取ってきたらしい。
「...家族を、二度も失う事になるなんてな...。」
「.......すまない。」
ふと、自嘲気味に呟いた僕にいきなり謝ってくるクロノ。
「...どうしたんだよ、いきなり。」
「...ただ、僕は無力だと思ってね...気にしないでくれ...。」
苦虫を噛み潰したような...思い出したくない事を思い浮かべたような顔で、クロノは僕にそう言った。
「.....無力を感じてるのは、僕の方だよ。」
「それでも君は、よくやった方だ。...すまない、君も一人の方が落ち着けるだろう。そろそろ僕は向こうに戻ってるよ。」
そう言ってクロノは管理局組の方へ戻る。
...今はその気遣いだけでも辛いんだけどね...。
「(親を失い、次は妹を失う....か。まるで疫病神だな。僕って。)」
それなのに、僕だけは生きている。
なんとなく、それがもどかしく感じられた。
「......。」
葬式が終わり、葬式の片づけを黙って見ている。
高町家の人達が気を利かせて片づけを手伝ってくれたようだ。
ちなみに、僕は無理をしないようにじっとしておくように言われた。
「(....死に別れって、ここまで辛かったっけな...?)」
僕が今まで経験した死に別れは、前世での両親と聖司。
それと、世間上ではあるが、今世の両親。
「(...皆、確かに辛かった。でもここまでは...。)」
つい先日まで知っていた人物と会えなくなる。
確かにそれは辛い。だけど、今回ばかりは違った。
「(緋雪だから....シュネーだから...か。)」
ムートだった時の、大切な幼馴染だから。
家族で、僕の妹だったから。
...一度助けられず、そして二度目の機会でも命を助けれなかったから。
チャンスを逃し、そして、僕自身が殺した。
だからここまで辛いのだろう。
「(...全部、全部僕の力不足だな...。)」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ