第2章:埋もれし過去の産物
第44話「心の傷」
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れだと、どうして私が...クロノ君とか、他の魔導師が気付かなかったの!?それも、つい一昨日か昨日の事だよ!?」
信じられない。嘘であってほしい。
そんな想いを込めて、司は事の真偽を確かめようとする。
「....事件の細かい事情は話せない...というか、記憶を封印してるから分からないけど、事件は今より過去で起きたんだよ。...だから、皆気づかなかった。」
「え...?過去....?」
“過去で起きた”という言葉に戸惑う司。
ちなみに、記憶を封印している優輝だが、覚えている事だけでも過去に遡った事は推測できた。先程司が言った通り、日付は全く進んでいないのを疑問に思えたからだ。
「....ごめんな、司さん。せっかく、“嫌な予感がする”って忠告してもらったのに、結局命は助けられなかった...!」
「ぇ...あ.....。」
過去に遡る前、司に言われた事を重要視しきれていなかった事を謝る優輝。
「...司さんには、話しておくよ。...過去に....緋雪に何が起こったのかを....。」
ゆっくりと、優輝は司に覚えている事のあらましを話した。
「―――と言う訳だよ。....士郎さんに頼んで、世間には事故扱いにしてもらってる。」
「.....そん、な....。」
絶望に近い、そんな気持ちを司は味わっていた。
信じられない。その気持ちは途轍もなく強い。
しかし、心のどこかで分かっているのだ。“それは紛れもない真実だ”と。
...過去での司は、事件の全てを知っていて、そして記憶は封印されている。
その名残が今の司にあるのだろう。
「...っ、ごめん優輝君...せっかくお見舞いに来たのに....ちょっと気分悪くなっちゃった。...帰っていい?」
「....いいよ。僕こそ、信じたくない事を話してごめん。」
ふらふらと、少し覚束ない足取りで司は優輝の病室を後にした。
「(....優輝君が、一番ショックを受けているのに....。)」
―――どうして、そんな平然を装おうとしているの...?
司は帰路を歩きながら、病室でのやり取りを思い出していた。
優輝は、平然を装っているつもりだったのだが、司にはそうではないと見破られていた。
「(...どうして....どうしてこんな事に....。)」
―――過去に起きた事だから仕方ない?...違う。
「(過去にも私はいた。だから仕方ない訳がない。)」
グルグル。グルグルと思考が回る。
それが運命だと、仕方ない事だと思いたくないから。
「(何がいけなかったの?何が悪かったの?.....あぁ、そうだ..
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