第83話
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〜リベール・エレボニア国境付近〜
「……皇子!一体どういうおつもりか!久々に顔をお見せになったかと思えばこ、このような猿芝居を……!」
「ハッハッハッ。やっぱりバレちゃった?」
クローゼ達との交渉を終えたオリヴァルト皇子にゼクス中将は怒りの表情で怒鳴り、怒鳴られたオリヴァルト皇子は呑気にも本来の口調と笑顔――オリビエの口調と笑顔で悪びれもなく笑いながら尋ねた。
「当たり前ですッ!よもや皇子がリベールでこのような事を企んでいたとは……。ミュラー!お前が付いていながら何事だ!」
ゼクス中将は怒り心頭の様子で怒鳴った後ミュラー少佐を睨んだ。
「お言葉ですが叔父上……この男が、俺の言うことなど素直に聞くとお思いですか?」
「ぐっ……」
しかしミュラー少佐の正論を聞くと唸り声を上げた。
「それに俺も少々、納得がいかないこともある。『ハーメルの惨劇』……今度の一件で初めて知りましたよ。」
「!!!」
「……やはりご存知でしたか。」
「ハハ、先生があの事件を知らないはずがないだろう?当時からすでに軍の重鎮だったのだからね。」
「………………………………」
ミュラー少佐にオリビエが苦笑しながら指摘している中、ゼクス中将は目を伏せて黙り込んでいた。
「いやいや、先生。あなたを責めるつもりはないよ。一部の主戦派が企てただけで、先生たちは一切関与していなかったという話だからねぇ。あまりに酷いスキャンダルゆえ、徹底的に行われた情報規制……。賛成はしかねるが、納得はできる。臭い物にはフタを、女神には祈りを。国民には国家の主義をと言うわけだ。だが……」
黙り込んでいるゼクス中将に笑顔で語って目を伏せた後すぐに目を開けてゼクス中将を見据えて冷たい微笑みを浮かべて自身の意志を伝えた。
「―――同じような欺瞞を繰り返すことは許さない。」
「……ッ…………」
オリビエの表情を見たゼクスは一瞬身体を震わせて驚いた。
「先生、あなたも本当は気付いているはずだ。唐突すぎる蒸気戦車の導入……。そして不自然極まるタイミングでの出動命令……。全ては”鉄血宰相”ギリアス・オズボーンの描いた絵であることを。」
「!!」
オリビエの口からある人物の名が出るとゼクス中将は目を見開いた。
「今回の事で確信したよ。彼は間違いなく”身喰らう蛇”と通じている。その事が、帝国にとってどのような影響をもたらすかは何とも言えないが。いずれにせよ、一国の宰相にふさわしい振る舞いではあるまい?」
「………………………………。皇子、まさか貴方は……」
そしてオリビエがやろうとしている事を察したゼクス中将は身体を震わせて信じられない表情
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