第82話
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エレボニアの皇子に真っ向から歯向かっているエステルをクローゼは心配そうな表情で見つめていた。
「おや……何だね君は?私のことを知っているようだが、どこかのパーティで会ったかな?」
「へっ……」
しかしオリヴァルト皇子が自分の事を知らない様子でいる風に答えるとエステルは呆けた表情をした。
「いや、貴族にしてはいささか品位に欠けるな……。ふむ、どこからどう見ても庶民の娘でしかないようだ。で、何者なのだね?」
「……上等じゃない。あくまでシラを切るわけね。そっちがそのつもりならあたしだって考えがあるわよ?」
「ほう……?」
怒りを抑えた様子で語ったエステルの答えが気になったオリヴァルト皇子は興味ありげな様子でエステルを見つめた。
「あたしの名前はエステル・ブライト!リベール遊撃士協会に所属するA級遊撃士よ!あくまで中立の立場からこの問題に介入させてもらうわ!」
「エステルさん……」
「ほう……遊撃士だったのか。(A級遊撃士といえば大陸でも有数の遊撃士じゃないか。フフ……エステル君もやるものじゃないか。)それで、中立の立場からというがこの状況で何をするつもりかね?」
エステルの行動にクローゼが驚いている中オリヴァルト皇子は内心感心しながら不敵な笑みを浮かべてエステルに問いかけた。
「あの浮遊都市がリベールの兵器じゃないことをここではっきりと宣言するわ!『支える籠手』の紋章に賭けて!」
「ほう……大きく出たものだ。確かに遊撃士協会の発言には無視できぬ影響力があるが……。果たしてその宣言にどれだけの根拠があるのかね?」
「根拠も何も、あたし達がこの目で見てきたことだもの。浮遊都市を出現させたのは今もリベールで暗躍している”身喰らう蛇”という結社よ。あたし達は、王国軍として彼らの陰謀を止めるために戦ってきた。何だったら、詳細な報告書を帝国政府に提出したっていいわ。」
「ふむ……。そのように言われては少々考えざるをえないが……。どうやら肝心な事が抜け落ちているのではないかな?」
「え……」
堂々と語ったエステルだったがオリヴァルト皇子の指摘の言葉を聞くと呆けた。
「仮にその結社とやらが犯人だったとして……この異常現象を止める方法が果たして君たちにあるのかね?」
「そ、それは……」
「ないのであれば、我々としてもてをこまねいているつもりはない。幸い、蒸気戦車に搭載しているのは火薬式の大砲でね。あの浮遊都市を落とすにはもってこいだとは思わないかね?」
「じょ、冗談でしょ!?大砲なんかで、あの巨大な都市を落とせるはずないじゃない!」
「フフ……やってみなくてはわかるまい。いずれにせよ……一つ、確
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