第82話
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た後クローゼに小声で話しかけた。
(ひ、姫様!?どうしてここに!?しかも王子殿下まで姫様と共に……)
(私は祖母上からクローディアの身に危険が迫った時、その対処をする為に共にここに来たのだ。)
(モルガン将軍、ご苦労様です。どうかこの場の交渉は私に任せていただけませんか?)
(で、ですが……。それにどうしておぬしらまでいるのだ!?)
レイスとクローゼの話を聞いたモルガン将軍はエステル達に視線を向けた。
(一応、クローゼの護衛なの。)
(それと、いざという時には仲裁をさせてもらうつもりです。)
(むむ……)
エステルとヨシュアの話を聞いたモルガン将軍は何も返せず、唸った。
(未熟な私に交渉役は務まらないかもしれませんが……。ですが、王太女としての務めを果たすべき時だと思うのです。どうか……お願いします。)
( ……分かり申した。ですが、いつ牙を剥くか判らぬ軍勢の前です。いざという時はすぐに門に逃れる準備をして下され。)
(……分かりました。)
モルガン将軍を下がらせたクローゼは前に出てゼクス中将と対峙した。
「どうやら交渉相手が変わったようですな。見ればやんごとなき身分のお方とお見受けいたすが……」
「お初お目にかかります。わたくしの名は、クローディア・フォン・アウスレーゼ。リベール女王アリシアの孫女にして先日、次期女王に指名された者です」
「!!こ、これは失礼いたした!自分の名は、ゼクス・ヴァンダール。エレボニア帝国軍、第3師団を任されている者です。」
クローゼがリベールの王女であるとわかったゼクス中将は驚いた後、敬礼をして自己紹介をした。
「あなたが……御勇名は耳にしております。」
(あのオジサン、有名なの?)
(『隻眼のゼクス』……帝国でも5本の指に入る名将だ。)
(ん?”ヴァンダール”?どこかで聞き覚えがある名前だな……)
(確かミュラー少佐のファミリーネームも”ヴァンダール”だったはずよ。……その事から考えるとミュラー少佐はゼクス中将の縁者でしょうね。)
エステルの疑問にヨシュアは静かに答え、首を傾げているフレンに指摘したアーシアは真剣な表情で考え込んだ。
「しかし以前、殿下のお姿を写真で拝見したことがあるのですが……。お髪をお切りになられたのですな?」
「恥ずかしながら……立太女の儀を済ませたばかりの身。身に余る重責に立ち向かうための小娘の決意の表れとお考えください。」
「いや、しかしそのお姿もとても良く似合ってらっしゃる。改めて……王太女殿下におかれましては誠におめでとうございます。」
「ありがとうございます、中将。」
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