第96話
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や……自分たちはその……」
女性の迫力に特務兵達はたじろいだ。
「たとえ招かれたのが公爵閣下でも城を来訪された方は、陛下のお客様!その事を忘れてもらっては困ります!」
「りょ、了解しました。」
(す、すごい迫力……)
(ひょっとしてこの人が……)
特務兵をたじろかせた女性を見て、エステルは驚き、ヨシュアは女性の正体を察した。
「ですが夫人……彼らを通すわけにはいきません。その事は、大佐の説明で分かっていただけたはずですな?」
「……その事は聞き飽きました。」
特務兵の言葉を聞いた女性は溜息を吐いた後、エステル達の前に出た。
「申しわけありません、お客様。警備上の理由で、女王宮の付近に近づくことは禁じられています。できれば、晩餐会が始まるまでお部屋でお待ちくださいませんか?」
「あ……は、はい。」
「わかりました。そうした方が良さそうですね。……すみません。色々とお騒がせしました。」
頭を下げる女性を見てエステルは頷き、ヨシュアは特務兵達にも謝った。
「フン……」
「分かればいいのだ、分かれば」
「………………(ギロッ)」
「……どうぞ、気を付けてお戻りください。」
ヨシュアの謝罪にいい気になった特務兵達だったが、女性に睨まれると丁寧な物言いで言い直した。
そしてエステルとヨシュア、女性は空中庭園の広場に来た。
「……お客様の前で見苦しいところをお見せしましたね。申し遅れました。私の名はヒルダといいます。グランセル城の女官長として侍女の監督にあたっております。」
「やっぱり……」
「あなたがヒルダ夫人だったんですね。」
女性――ヒルダが名乗り出ると、エステルとヨシュアは納得した。
「おや……。失礼ですが、面識がありましたでしょうか?」
2人が自分を知っているかのような様子にヒルダは驚いて、尋ねた。
「えっと……ある人から教えてもらったんです。」
ヒルダの疑問に答えたエステルはユリアから貰った紹介状をヒルダに手渡した。
「この筆跡は……」
紹介状を読んだヒルダは驚きの声を出した。
「あ、それだけで判るんだ。」
「その紹介状と、遊撃士の紋章が僕たちの身分証明となります。」
「わかりました……。ここでは何ですから侍女達の控室に参りましょう。そこで話を伺わせていただきます。」
そしてエステル達はヒルダの案内によって侍女達の控室に向かった。
〜グランセル城内・侍女控室〜
「……お話はわかりました。ラッセル博士の伝言を女王陛下に直接伝えたいと……。つまり、そういう事ですわね?
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