第92話
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だ。」
「………………………………」
「………………………………」
ユリアの頼みを聞き、エステルとヨシュアはお互いの顔を見合わせた。
「虫のいい頼みなのは判っている。だが、手配された我々にとって城内に入り込む術は存在しない。もはや君達だけが頼りなのだ。」
ユリアは辛そうな表情で事情を説明し、エステル達に頼んだ。
「……えっと。なんというか偶然ねえ。」
「僕たちは、陛下と会うために武術大会に出場しているのです。」
「え……?」
エステルとヨシュアの言葉を聞き、ユリアは首を傾げた。そしてエステル達はレイストン要塞での事件とラッセル博士から女王あてに伝言を預かっていることを話した。
「そんな事があったのか……。おお女神よ。大いなる慈悲に感謝します……。ならば、私の方から君達に頼むことはただひとつ。苦境にある陛下の相談に乗って差し上げてほしいのだ。」
「うん、もちろんそのつもりよ。」
「内政不干渉が原則とはいえ、この事態はさすがに見過ごせません。できる限りのことをさせて頂くつもりです。」
ユリアの頼みにエステルとヨシュアは力強く頷いた。
「かたじけない……。それでは、これを持っていくといいだろう。」
そしてユリアはエステルに手紙を渡した。
「城の女官長をされているヒルダ夫人という方への紹介状だ。たぶん陛下は、あの特務兵たちに厳重に監視されているとは思うが……。身の回りを任されている夫人なら君たちを陛下に引き合わせることが出来るかもしれない。」
「へ〜、そんな人がいるんだ。」
「わかりました。その人を捜して相談してみます。」
「よろしくお願いする。フフ……情けないことだな。」
「へ……?」
目を閉じて自嘲するユリアにエステルは首を傾げた。
「奸計におとしいれられて守るべき方を守れなかった屈辱……。たとえこの命が果てようとも奸賊を討ち、陛下をお救いすることで晴らさんと誓ったばかりなのに……。君たちに力を借りるしかない無力な自分が情けなくてね……」
ユリアは悔しそうな表情で自分の拳に力を入れた。
「そ、そんなに自分を追い詰めなくても……。それに申しわけないけど明日の試合で、あたしたちが負ける可能性だってあるんだし……」
「フフ……君たちなら例え相手があの”戦妃”殿でもきっと大丈夫な気がするよ。あのカルバードの武術家殿も大した腕前の持ち主だが……。何といっても君達はあのカシウス大佐の子供なのだから。」
「ええっ、ユリアさんも父さんのこと知ってるの!?」
ユリアもカシウスを知っていた事にエステルは驚いて尋ねた。
「王国
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