第76話
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も好きなの。ぽっかり空いた胸の穴が埋まっていく気がするから。ユウナはね、人が痛がる声を聞くのがとっても好きなの。夜、ぐっすり眠れるから。」
「……ッ……」
「そうか……君は今でも……」
「…………なるほどね。”それが”ユウナの”あの時の事を思い出さない”方法ね。」
ユウナの話を聞いたエステルが信じられない表情をしている中、ユウナの話を聞いてある事を察していたヨシュアとレンは複雑そうな表情で呟き
「……ヨシュアとレンは黙ってて。」
そして全てを凍てつかせるような視線でヨシュアとレンを見つめて二人にこれ以上話さないように釘を刺したユウナはエステルに視線を向けて話を続けた。
「ねえ、エステル。ユウナとレンの関係を知ってからレンにも聞いたでしょうけどユウナとレンには小さな頃、ニセ物のパパとママがいたわ。」
「うん………確か二人の両親は昔、危険な相場に手を出したせいで借金を背負ってしまったって話よね?」
「そうよ。ニセ物のパパとママ、そしておねえちゃん。みんな大好きだったけど、エステルの話にあったようにお仕事とかで失敗しちゃってね。ユウナとレンのこと、悪い大人たちに引き渡しちゃったのよ。『必ず迎えに行くからね』って泣きながら何度も繰り返してね。レンも覚えているでしょう?」
「……ええ。」
「……………」
笑顔で自分達の壮絶な過去の一部を語ったユウナに視線を向けられたレンは静かな表情で答え、エステルは辛そうな表情で黙り込んでいた。
「その人達に引き取られた後、ユウナとレンは色々なことをやらされた。大抵のことはすぐに慣れたけど痛くされるのだけは慣れなかった……同じくらいの子達もいたけどすぐに具合を悪くしちゃって、いなくなっちゃう事が多かった。そんな生活が半年くらい続いたわ。」
「……くっ……」
「……ユウナ……ちゃん……レン……ちゃん……」
(イオン様、”殲滅天使”の話している事は間違いなく……)
(”D∴G教団”に拉致されて以降の生活の事ですね……)
(あの最低最悪の外道共が……!今思い出すだけでも、”予言”によってシルヴィアを失い、メリルを奪われた時の事を思い出す程の怒りが湧いてくる……!)
ユウナの話を聞いたエステルは唇を噛みしめ、ティータは辛そうな表情で双子の姉妹を見つめ、アリエッタに視線を向けられたイオンは重々しい様子を纏って答え、バダックは怒りで震えていた。
「結局ね。パパとママは偽物だったのよ。本物なら、ユウナが痛がっていたらすぐに迎えに来てくれるはずだもの。勿論、”妹”が痛がっているのに助けてくれなかったレンも偽物。そうでしょう、エステル?」
「………………」
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