第26話 湾内さん
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「そういえば白井さんどうしたんですか?」
御坂を見上げながら佐天が訊いた。
「ああ、黒子ならジャッジメントの仕事に駆り出されたわよ。ここに向かう途中で先輩に見つかって引きずられるように」
離してください
私にはやるべき事がありますのー
ジャッジメントとしても任務が山積みよ
眼鏡を掛けた先輩ジャッジメントが白井の腕を力強く握り、本部へと連れていくのを眺めながらサソリの病室に来たらしい。
「初春も朝から大変みたいです。電話してみたらご飯食べる時間もないって悲痛な声で言ってました」
「ほらサソリも挨拶しなさい」
「オレもかよ!」
「ぜひ」
湾内が身を乗り出して、ベッドの端っこにいて、ジリジリとサソリに狙いを定めるように近づいている。
ビクっとサソリが反応して、ベッドの反対側へ出来る限り逃げる。
「分かったから離れてくれ。サソリだ」
「サソリさん......できればそのう、上の名前も教えてくださいませんか?」
湾内の質問に御坂と佐天が気づいたように口を開けた。
「そういえば、サソリの名字を知らないわね」
「あたしも」
サソリは怪訝そうな顔をしながら
「は?名字なんてねーよ」
と言った。
なぬ!?
無いだと
「無いの!?ない訳ないじゃない」
「あ?!オレの所じゃ......古くからある一族にだけしか名字がねえからな。でも、確か親父の方でなんかあった気がするが」
日本は庶民にも名字を付けることが許されるようになったのは明治の世になってからで、その後は名字を代々使うのが慣例となっている。
サソリの戦国時代タイムスリップ説に信憑性が強くなる。
湾内が真剣な顔をすると
「ということは湾内サソリってことになりますわ」
「わ、湾内さん?」
「何でお前の一族名をオレが名乗らないといけねーんだよ」
「まずは、サソリさんの御両親に挨拶をしませんと」
「親父とおふくろ?オレがガキの頃に死んだけど」
!?
サソリの衝撃的な言葉にその場に居た全員がサソリのベッドの周りに集まった。
「そうなの?!」
「ああ、任務中に殺されたみたいだ」
「それはおかわいそうに」
「別に」
「他に家族は?」
「ババアがいたが、もうくたばったろうな。最後は喧嘩別れみたいな感じだし」
というか殺し合いをしたし。
「会いたくないの?」
「ふん、何かにつけて掟だなんだかんだって言ってくる口うるさい奴だった」
結局、トドメを刺せなかったしな
攻撃が来るって分かったのに、何故か身体が動かなかった
その疑問は晴れない
少しだけ話してくれたサソリの家族のこと。
もう、サソリのお父さんとお母さんはこの世にいない
佐天には夢の中で、母親の人形に
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