一章
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飛空挺技術試験
筆記試験の点数上位10名がうける運転技術のみの試験。筆記に落ちた受験者は、当然ここで不合格となる
「…………」
シルクは掲示板の前で唖然としていた。自分の名前はキラリとそこにある。一番上に
「ゼロの……ヤマカンなのに……」
難しいといわれる試験なのに予想以上に簡単に解いていたシルクだったが、結果はこうなった。不安なところはあっても、わからないところはなかった。
その結果がこれ。筆記試験第一位
「つーことは一番最後だな。技術」
サングラスの人相の悪い男は言った
「……出てきても大丈夫なの?人多いのに」
「多いからバレねぇんだよ」
ゼロはニヤリと笑って、シルクの頭をポンと叩いた
「やるじゃねぇか」
「教えてくれたところがばっちり出たからね」
シルクがしたことはゼロの指示した場所の丸暗記であって、勉強量も少なく、おそらく基本中の基本の知識さえしらない。他の受験者が聞けば全員が怒り狂うだろう
「それより技術は大丈夫なの?どうやって受けるのかさえ分かんないんだけど」
「まぁなんとかなるだろ」
ゼロはスタスタとその場を去り、誰からの目にもとまることなく、姿を消した。あれだけ目立つ存在で見てくれも目を追うものがあるのに、ゼロはすんなりと姿を消す。シルクには慣れたものだ
「あ……」
ふと掲示板に目がとまる。見ていたものは自分の名前のすぐ下の名前
リオ・アカツキ
「珍しい名前だな……」
シルクはそれくらいにしか思わなかった
それが自分に匹敵する存在とは、つまり脅威には感じなかったのだ
裏通りを歩き、人とのすれ違い様に入国証をすり替える。もはやゼロの日課だった。しかし全員の顔を記憶し、2日以内には本人のもとに渡るようにしなければならない。ゼロにとって、ただただ面倒な作業であった。本当ならば有名なバーにでもいって、最高級のウィスキーでも口にしたいところだが、自らの連れは年齢詐称中の子供のみ。1人でいけば人が寄ってくるため酒どころではない。ゼロはため息をついた。ストレスばかりがたまっていく
それを煽動するかのように、ゼロの歩く道は騒がしく人の気配が濃くなっていくのだった
「……ち」
ゼロは小さく舌打ちをする。なんの見世物か、ぞろぞろと人が集まっていくのだ。人混みなど嫌悪感以外になにも抱かないゼロだが、これだけ人が集まれば入れ換えも楽なもの。仕方なくゼロの足は動く
人だかりは小さな音の集まりだった。小声の塊。芸をするなら笑い声がとび、手品をするならしんと静まるだろう。しかしこの人だかりはざわざわと、さまざまな声が飛び交っ
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