第12話『独りじゃない』
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を呼び止めた。
すると彼はこちらを驚いた表情で振り向いたかと思うと、またも逃げ出そうとした。が、すぐさまその足は止まる。
何せここは屋上。たった1つの出入り口の扉の前には、俺が立ち塞がっているのだから。
「君はあの時の・・・。何の用ですか?」
あの時ほどムスッとした声ではなかったが、柔和な様子でもなかった。
「どうして逃げたの? 楽しそうだったじゃん」
「確かに楽しかったし、変な扱いも受けてないけど…、“特別扱い”みたいな感じが少し・・・」
そうか。彼は俺らの横に立ちたいんだ。外れた特別な所に居るのではなくて。
そう思うと、彼の望みがわかったような気がした。
「柊君、言ったろ? 俺は君の味方だって」
「それがどうし・・・」
「だったら俺らは友達じゃないか」
「!!」
この表情。やはりか。
彼は守ってくれる人が欲しかったのと同時に、自分の横に居てくれる人、つまりは『友達』が欲しかったんだ。
「アレは少し大袈裟だったかも知れないけど、皆は君を歓迎してるんだ」
「うん…」
「だからね・・・君は独りじゃないんだよ」
「…!」
俺がそう告げると、柊君は戸惑った表情をした。けどそれは次第に、安心したような表情へと変わる。
「だからさ、戻ろう?」
「…そうだね」
俺の呼び掛けに、柊君は笑顔でそう返した。
まぁこの後に、また女子がお祭り騒ぎとなったのは言うまでもないが。
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