第10話『体育の時間』
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。死にそうになったんだから」
「家にずっと引き籠っているからだよ」
「ぐうの音も出ねぇ…」
俺は今帰路についている。そして今日の体育の出来事を莉奈に話しているところだ。
ちなみに女子は別の先生の指導の元、体育を行っていたそうだが、なんと体操をずっとやっていたそうだ。しかも俺らの体育よりも数倍楽そうなのを。
「晴登ったらすぐ疲れてよ〜」
「お前が特別なんだよ。最後まで涼しい顔しやがって」
「だって簡単だったもん」
あの50m走が終わっても、いくつか競技があった。鉄棒だったり幅跳びだったり、終いには砲丸投げをさせられた。骨が折れるかと思ったけどね…。
クラス男子は大地以外、早く終わらないかと強く願っていたはずだ。
しかし大地だけはやはり、全てを完璧と言えるほどに達成していた。おかげで先生から数々の称賛の言葉を貰っていた。
「にしても暁君がね〜」
俺が今日発見した事実だ。
『暁君は運動ができない』
非常に失礼な物言いであるかもしれないが、アレはどう見ても驚く。
だってあんなクールな人が、汗水垂らして不格好な走りを見せていたのだ。……ちょっと面白かった。
「で、晴登はどうだったの?」
「え?」
「すぐ疲れたってのはわかったけど、結果はどうだったの?」
「えぇ…」
結果というのは、今回クラス男子が行った競技の結果を元に先生が作成した体力データのことだ。
一人一人ランク付けがされており、最低のEランクから最高のAランクまである。
もちろん大地はAであった。
「ねぇ〜、晴登は?」
「……C」
恥ずかしい。もう埋まりたい。
ちなみにCというのは平均の値である。つまり、俺はまたも“平均”だったのだ…。
「晴登ってホント普通だよね〜」
「わざと言ってるかは知らないけど、傷つくから止めて…」
「晴登ってホント普通だよな〜」
「お前はわざとだろ!」
莉奈と大地が交互に俺をいじってくる。
関わってもらえることに悪い気はしないのだが、せめて題材を変えてほしい。ホントにヘコんでるから…。
「まぁでも・・・」
「?」
「それが晴登だよね」
「だな」
「お前ら…」
不意な言葉に俺は感動し涙を出しそうになる。こんな俺でも、彼らは受け入れてくれるのだ。
あぁ、やっぱりこいつらが友達で良かった。
「・・・とか言ったら晴登泣いちゃうかな?」
「どうだろうな?」
だけど・・・やっぱりウザい!!
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