第10話『体育の時間』
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タッタッタッタ・・・
ダン!!
「「おぉ〜!」」
周りから感嘆の声が漏れる。
理由は単純。あるものを凄いと思ったからだ。
「凄いな、大地」
「そうか?」
駆け寄ってきた俺に、汗を拭きながら大地は答える。
だが謙遜こそしているものの、実はこいつはさっき12段の跳び箱を跳んだのだ。素人の俺たちから見れば、凄いと思う。まぁこいつも素人なんだが。
「運動はできるよな、お前」
「悪いが勉強もできるぞ」
「コノヤロー…」
正直に誉めたのだが、言い方が悪かったせいかそう返される。
何でこいつは何でもできる奴なんだ。
馬鹿なこととかたまにするし、子供っぽいし、天然なところあるし、方向音痴なのに、何で基本のスペックが高いんだよ!
「まさか僻んでるんですか、晴登君?」
しかもちょっとウザい要素あるし。
何だよこいつのキャラ…。天然なのに天才って何? どこのマンガのキャラですか? もうやだ…。
「まぁ冗談だけど」
「冗談じゃなかったらぶっ飛ばしてたよ」
「怒るな怒るな」
俺が怒った口調で言うと、大地はヘラヘラとしながらも謝ってきた。
それでも少し怒りが収まらず、次なる言葉を放とうとした俺に声が飛んできた。
「三浦君、君の番だよ」
「えっ!?」
そう言ったのは俺のクラスの担任である山本先生。
ちなみに『俺の番』というのも、今俺たちは体育の授業を受けており、それで跳び箱をやっているのだ。ただそれは男子だけであり、女子は別の所で何かをしてるらしい。
この体育の目的は、先生曰く「生徒の基礎体力を見たい」ということなので、女子も運動関係の何かしらをしているんだろうけど。
ということで、俺は急いで跳び箱を見据えるように正面に立つ。
「じゃあ行くよ」
先生のホイッスルの音を合図に走り始める。
俺は大地ほど運動が出来る訳でもないので、跳ぶのは7段にしている。これが平凡なのかそうではないのかは知らないけど、これは跳べないといけない気がする。
遂に跳び箱の真正面まで来た俺は少し跳ね、踏切板を両足で強く踏みつけた。もちろんそれで終わる訳でもないので、跳び箱に手をつき、跳ぶ準備を終えた俺は、勢いよく跳び上がり、跳び箱を・・・跳んだ。
「よし!・・・ってわっ!?」
だが勢いをつけすぎた俺の体は、跳び箱を跳んだ直後にバランスを取ることができなくなっていた。
まずい。このままでは頭から落ちる!
跳び終わって着地するまでのコンマ数秒、俺は出来る限り安全な体勢になった。
「くっ…!」
俺は必死の思いで脚を伸ばした。すると・・・
ズザザザァ
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