ちゃんと見てると、彼女は言った
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の一言だけで通じる訳ねえんだけどな…)
“上辺だけで笑ったって、本当にアンタを見てる奴にはきっと通じない。”
彼女はそう言って、最初から言いたい事は言っていて、なのにあそこまで付き合ってくれたのだろう。どうしてあそこまでしてくれたのかは解らないままだけど、きっとただの気まぐれなのだ。
(ティアってそういう奴だし。本当、どこのお嬢サマだよ)
「くしゅっ」
「ティアどうしたの?…はっ、もしかして風邪!?そ、そうなの風邪なの熱でもあるの!?うわあああどうしようアルカいないのに僕1人でどうしろっていうの――――!?」
「別に風邪なんて引いてないし……でもまあ、私の為に何かしたいなら…そうね」
「なあに?僕にも出来る事ある!?」
「しばらくの間黙ってなさいな。真隣でぎゃあぎゃあ喧しいったらありゃしないわ」
「……アルカっ」
鋭い声で名前を呼ばれ、思い出に浸っていた頭が覚醒した。その場で止まり、意識を集中させる。
こちらに注意を促したミラにも聞こえているであろう、けたけたと笑うような声。何重にもなって聞こえてくるそれは、ゆっくりと近づいてきている。
「…何かいるな」
「姿は見えねえけど、結構いる。……?」
「どうした?」
声はどんどん近づいているのに姿を見せない相手は、魔物なのか人なのか。どちらであっても対処出来るように何パターンかの戦闘準備を同時進行していたアルカの目に“それ”が見えたのは、その手に炎の剣を具現しようとした、まさにその時だった。
いくらかの距離を取って見えたそれを、空いた左手で指す。その先を見たミラが、確認するなり叫んでいた。
「砂煙……―――――ビックマウスか!」
砂煙を巻き上げ、地中から飛び出してきたのは。
その名に違わず大きな口を持った、殻に覆われた巨大な芋虫――ビックマウスの群れだった。
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