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Element Magic Trinity
ちゃんと見てると、彼女は言った
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ない。ひたすら平坦な道を真っ直ぐに進めば辿り着く、道に迷いやすいルーでも何とかなりそうなルートだとアルカは思った。

(けどなー、オレ嫌われちゃってるからなー……しかも顔。1番直せねえトコ。加えて、無理して笑ってるとか図星頂いちゃってさあ…)

吐き掛けた溜め息をどうにか飲み込む。

(そういや昔、似たような事ティアにも言われたっけ)






『アンタ、何なの』

初対面、本来なら初めまして辺りから始まる付き合いは、彼女のこの一言で始まった。
別に何か妙な行動をとった訳ではない。ただ今日から世話になるギルドの、一緒に仕事をする事になるであろう魔導士達に挨拶をしていく中で、最後の最後に声をかけたのが彼女だったというだけで。
彼女を最後に回したのだって、大した理由じゃない。熱心に本を読んでいるようだったから読み終わってから声をかけた、それだけだ。

『えー…っと、今日からこのギルドで世話になる、アルカンジュ・イレイザーです。名前長いんで、まあ好きに略してくれれば』
『別にアンタが誰であれ関係ないから自己紹介なんざいらないけど』

一息で言い切った少女は、後に知った事だがアルカの2つ年下だった。けれどギルドの空気に慣れ切っている先輩のように思えるからか、それとも魔導士としての勘が「コイツはヤバいぞ」とでも伝えているのかは解らないが、どうしても砕けた口調で話せない。自分より何歳も上のオヤジや、マスターにでさえ敬語なんて使わなかったのに。

『じゃあ、どういう』
『そうやって、へらへら中身のない笑い方しないでくれる?見てて不快だから』

先ほどからこちらの言う事を全て遮って、言葉通りに不機嫌そうな彼女の青い目がアルカを真っ直ぐに見上げていた。

『私、嫌いなのよ。出来もしないくせに表情作ろうとするのが。それをやってる奴を見るのも嫌い。別に笑わなくなって生きていけるし、それで軽蔑して来る奴がいるなら付き合わなきゃいいだけよ。上辺だけで笑ったって、本当にアンタを見てる奴にはきっと通じない』
『上辺だけって……オレは…』
『ええ、それがアンタなんでしょうね。アンタにはそれが骨の髄まで染み込んでるんでしょう。だったらそれでも構わないわ、私に関わりさえしないでくれれば』

私と無関係でならどんな顔しようが気にならないもの、と付け加えて、興味が失せたのかくるりとアルカに背を向ける。
他のメンバーから聞いてはいたが、確かにある種自己中心的な少女だった。同時にかなりの我が儘でもある。更にばっさりと言い切る口調にはっきりとした言い方、一言一言がアルカを突き放しにかかっているようだ。

(何だコイツ。……オレだって、好きで笑ってるんじゃねえよ)

そう言ってやろうかと考えて、止める。だったら止めればいいでしょ
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