ちゃんと見てると、彼女は言った
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うかギルドの皆が知ってると思うよ?」
あまりにもあっさりと頷かれ、しかもまさかの事実が降ってきた。これは流石に予想外過ぎて、一瞬ティアの動きが止まる。それでも驚きを顔に出さない辺りは彼女らしい。
「……それ、本当なの?」
「アルカって案外解りやすいトコあるからねー、ミラ姉と話した後とか1番よく解るよ」
「あー…なるほどね」
そうかもしれない、と納得する。ミラと話した後という事は、言い方を変えればティアに相談する前の事だ。それなら「またやっちまったよ……」と暗い顔をしているだろうし、それが毎回となれば気づかない訳がない。
もちろん気づかない奴―――例えばマフラー巻いた火竜とか―――もいるだろうが、その辺りは女子故か察しの早いリサーナである。この計画を持ち出す以前からやたらと2人の距離を縮めようとしていたのはその為だろう。
「だから今日の仕事で仲良くなれればいいなって思って。まあ、上手くいくかはミラ姉達次第だけど……」
「何とかなるでしょ。アイツ等だって魔導士だもの、仕事に私情を挟みやしないはずよ」
「でもティアは仕事だとしてもナツと喧嘩してるよ?」
「あれは向こうが突っかかってくるだけでしょうが」
さて。
そんな話をされているとは全く知らない2人は、列車を降り依頼先に到着し、既に仕事に取り掛かっていた。無駄な会話が一切ない為にここまでスピーディーなのだが、それはさておき。
「ソウルイクスティンクター!――――アルカっ」
「はいよ…っと。そーれ、大火弓矢!」
そしてティアの想像通り、先ほどまでの気まずさはどこへやら、むしろぴったりすぎるほど息の合う2人がそこにいた。その通ってきた道にはヒレだけが消えたグリードウィングが十数匹力なく地に落ちている。
自身の魔法によってその身を悪魔へと変えたミラが突撃し、周囲を警戒しながらアルカが後方から攻撃する。その攻撃は炎であったり砂であったりしたが、とにかくここまで2人は傷らしい傷も負わずに着々とヒレを回収していた。
たった今戦っていたグリードウィングからヒレを切り取って、躊躇なく袋に放り込む。手に血が付いたが、この程度で悲鳴を上げていては魔導士は務まらない。
「ま、こんなモンか」
「これだけあれば十分だろ。とっとと終わらせて帰ろうぜ」
「えー、土産買わねえの?リサーナとエルフマンにさあ」
「……何かあったらな」
回収したヒレを袋に詰め、借りた台車に乗せて運ぶ。なかなかに重量がある為共同作業だが、かといって一緒に引っ張る訳ではない。アルカが引っ張り、ミラは後ろから押していくと決めてある。
(いや、オレとしては一緒に引っ張るってのもアリなんだけど)
運のいい事に、この地点から依頼人の待つ場所までに坂は
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