暁 〜小説投稿サイト〜
異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。
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お迎えに上がりました、その言葉を聞いて僕は即座にレイアの手を掴んで走りだした。
向かい先は“海”。
後ろの方で捕まえろ、や、レイア以外はどうなってもいいとか、ちょっと危険な匂いのする言葉が飛び交う。
そうしていると今度はリリアの声が聞こえた。
「ちょっとくらいは足止めしてあげるから、頑張ってらっしゃい」
「私も頑張ってあげるわ。そして、必ず戻ってきなさいよ、その魔導書が私は見たいし!」
エイダも一緒に、そんな事を言う。
二人に足止めしてもらえて、助かったように思う。
何だかんだ言って、レイアの友人であり色々あったけれどエイダも仲間だったのだと思う。だから、
「頑張って戻ってこよう」
「はい!」
レイアが微笑み頷いた。
そして僕は海に向かい、まずは一つ“魔法結晶石”を掲げ、
「“風の凪”」
同時に放出された風が、海を走り、波を吹き飛ばす。
それからほんの少し時間差を置いて、けれど波が元の形になる前に僕は青い“魔法結晶石”を、今度はその全てを使うために、投げつけて、
「“氷の息吹は静寂と共に”」
“魔法結晶石”が強い青い光を放ち、僕の身長ほどの大きな球になったそれが破裂する。
ちぎれた青い光が海面に触れ、そこか白く濁ったかと思うと、ピキッという乾いた大きな音が響き渡り……見渡すかぎり氷の平原が広がる。
氷は滑るけれど、今回は仕方がない。
そう思ってレイアの手を引き氷の平原を走る。
けれどそこで僕は気づいた。
この氷は、表面は雪のようにさくさくしている。
走るのには遅いかもしれないけれど、滑って転ぶよりはずっといい。
無意識の内にこのような効果を僕は引き出していたのだろうか?
僕の望むように魔法は全て作り変えられているのだろうか?
この世界のシステム、“魔法”を僕はよく知らない。
でも全てが上手くいってまた戻ってこれるのなら、今度はもう少しこの世界の“魔法”について考えてみよう。
僕はそう思いながら走って進んでいく。
まわリが氷の平原になったためか、レイアが見たという小島が分かりやすい。
とはいえ、まずは確認もしておいたほうがいいので、
「あの島でいいんだよね」
「はい、そして確かあのしまの左側の海域に……」
そこまでしかレイアは言えなかった。
なぜって、そこで唸り声が聞こえたからだ。
うー、という低い声。
つい立ち止まってしまったが、それが良かったのかもしれない。
氷の下に大きな黒い影が現れる。
そして、大きな音を立てて氷を割り、黒い塊が姿を現す。
頭に浮かんだのは日本の妖怪で海坊主というものだったけれど。
その黒い物体は赤い瞳で探るように僕達を見てい
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