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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十四話 ベーネミュンデ事件(その4)
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、この手の微妙な問題を相談するには最適なのだ。あの老人にしてみれば周囲にいる人間は気軽に相談しづらい存在なのだろう。だからといって……
ズガーンという音と共に振動が私たちを襲う。地上車が旋回し私と中将がドアに押し付けられる。
「閣下、伏せてください」
私は中将を座席シートに押し倒しつつ、その上に覆いかぶさった。
「少佐」
「駄目です」
起き上がろうとする中将を強くシートに押し付ける。
ようやく何処かの屋敷の壁にぶつかって地上車が回転を止めた。衝撃でフロントガラス、リアガラスが割れ細かい破片が私たちを襲う。外からの生暖かい空気が車内に入ってくるのが判った。私は中将から離れ、急いでブラスターを取り出す。事故じゃない、攻撃を受けたのだ。ベーネミュンデ侯爵夫人か、それともコルプト子爵か。
「中将、頭を低くしてください。狙われます」
「わかりました」
中将も状況を理解したのだろう。ブラスターを抜いて構えている。暗闇の中でも緊張しているのが判る。彼にとって予想外の事態なのかもしれない。そう思うとこんな時なのに可笑しかった。
レーザーが車内に打ち込まれる。こちらも打ち返す。敵は十人以上いるようだ。車内にいる分には多少防げるが、もう一度さっきの攻撃、多分、対戦車ミサイルだろうがあれをやられると危ない。どこかで外に出なければならないがタイミングが難しい。少なくとも三人〜四人程度は此処で倒しておきたい。
うめき声が聞こえる。一人倒したようだ。中将と私は、つかの間顔を見合わせる。
「どのくらい持つと思います」
押し殺した声で中将がささやく。
「車内にいられるのは良くて後十分程度だと思います」
私も同じように押し殺した声で答える。
「そうですか……その後は外に出て逃げるしかないですね」
そう、逃げるしかない。しかし逃げ切れるだろうか。
突然、光が辺りを照らす。人々の叫び声が響いた。私は中将と顔を見合わせた。味方? 敵? 中将の名を呼ぶ声が聞こえる。味方が来たようだ、襲撃者たちは逃げ去り始めた。助かったらしい。
「ご無事ですか。ヴァレンシュタイン中将」
車から降りた私たちに話しかけてきたのは三十代後半の士官だった。
「危ないところを助けていただき感謝します、失礼だが卿らは?」
「リヒテンラーデ侯の家臣です。主より中将の後を追えと命じられました」
「リヒテンラーデ侯が」
思わず私と中将は顔を見合わせた。
「はい。間も無くこちらへ来られるはずです」
話している間にもリヒテンラーデ侯の家臣たちが襲撃者たちを追っている。何人か捕縛したようだ。これで誰が襲撃を命じたかも判るだろう。
侯が来たのは約十分ほど後のことだった。周囲には私たちを守るかのように何人かの兵士が立っている。
「閣下。御配慮いただき有
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