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俺の四畳半が最近安らげない件
四畳半の殺人
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た部分もある。ま、低い山だし何とかなるだろう、と。
「これはもう…事件だな」
水沢がまだ言う。そういや奴はミステリ研究会も掛け持ちで入っていた。山岳小説とミステリの融合とかなんとか言って、お粗末な推理小説を書いてたな。…それはそれは哀れになるほどフルボッコだったが。
「犯人は、この中にいる!!ひらめいたぞ、ひらめいてきたぞ…」
奴は立ち上がり、顎に手を当てて辺りをウロウロし始めた。
「狭いんだからじっとしてろよ」
秋野が苛立ち全開で水沢を睨み付けた。昔からこの二人は相性が良くなかった。
「――秋野。君は4年前、氷室に貸した漫画が返ってこないと怒っていたね」
「は?」
「それを根に持って、今回の犯行に……」
秋野が深いため息と共に口を開きかけたその時。
「あ、俺もイニシャルD返してねぇや」
「刃牙、借りてたな」
嵐山と土浦が言い出した。秋野が大きくため息をついた。
「お前もだよな、緑川!」
そうですね、すみません。
「…漫画を返さないのは氷室だけじゃない。で?これから閉ざされた山小屋で連続殺人が始まるのか?」
「うぐ…」
「それとお前もドラゴンボール返せ。全部初版なんだよ。お前の被害が一番甚大だ」
全員じゃねぇか。
「え…と、あれだ、やっぱり…土浦!お前、あいつに彼女取られたことあったな!」
「……は?」
完全に虚をつかれた顔で、土浦が水沢を凝視した。
「顔ばっかりで全然喋らないお前に愛想を尽かせた彼女が、あいつに走ったんだよな!」
「――緑川だ」
「―――!!!」
ぐっと気まずい空気が四畳半を満たす。…ち、なんでそんな昔の話、しかも誤爆話を掘り返すのだ。
「で、でもあいつまた別の男に走ったし!ほら、よくあるじゃん若い頃は!」
「別に、気にしていない」
「お前、もう一体何がしたいんだよ!昔の嫌な記憶ほじくりかえして人間関係滅多くそにしたいのか!?」
イライラが頂点に達した秋野が怒鳴った。
「全くだ、お前もう黙れ!!」
俺も便乗して叫んだ。俺まで痛くもない腹を探られるのは勘弁してほしい。それに他殺にせよ事故・病気にせよ、仲間が一人死んでいるのだ。一番いい時代を共に過ごした、仲間だ。ゆっくり、悼ませてほしかった。
「――なるほどな、犯人は絞られた」


まだ続くの!?空気読めないの!?馬鹿なの!?


「俺の追及を怒鳴って止めようとしているお前ら!!」
「あああああもううるせえよ!人が死んでるのにいつまでごっこ遊び続ける気だ!!!子供か!!!」
「あっあっ、そうやって誤魔化そうとしてるー、容疑者は一人に絞られたー…」
水沢がガクガク震えながら必死に虚勢を張る。なんだこの状況。
「出たよ、思い付き展開。お前のそういう行き当たりばったりでテキトーな性格が小説にも現れてんだよ!!伏線は
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