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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
語り間
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れた。

認めたくない。だが、認めざるを得ない。

それほどまでに、《露骨》だった。

「戦争……?」

「そこまで短絡的に行くかどうかはわからんが、このまま順当に行けば二年後辺りには笑い話では話せなくなるかもしれんな。それほどまでに、完全に蚊帳の外に置かれている中露と他先進国家間の軋みが激しい。まぁ今まで技術の壁という越したくても越せないモノで押さえつけられていた反動かもしれんがのぉ」

眩暈が起こりそうな言葉だった。

戦争という現実離れした単語そのものにではない。それを起こそうとしているのが身内であるという事実に頭を抱えそうになり、またそれを為そうとしているのが『あの』兄であるという事実にどこか納得してしまう自分がいることに顔を覆いたくなった。

「兄ちゃんは、何でそんなことを……」

「問題はそこじゃ。金が欲しい訳でもない、技術をひけらかすような幼稚な人格構成もしておらん。ただ全てを大戦のために捧げておる。ならばなぜ、彼奴は戦争を起こしたがっておるんじゃ?デメリットしかなかろうに……」

老人の言葉の後半はもう、自分自身に問いかけたような言葉だった。

カコォン、と響く鹿威しの音が響き渡る。

「実際、公安のチヨダとかはもう動き出しておる。ロシアや中国もとっくに動き出しておろう。大国2つを相手取って、ヤツに利することは……?」

今、肉親が指名手配されているという不穏極まりないワードを聞いた気がするが、そこはもうスルーする方向にするとして、車椅子の少年はこほんと咳払いひとつして思考に没頭しそうになっている重國を引っ張り戻す。

「と、とにかく、兄ちゃんが戦争を起こそうとしているのは分かったよ」

この場合、この情報の真偽はあまり関係ない。

ここまで《深い》情報へ潜れるツテを持っていない少年には、正しい情報を手に入れることすらできないし、確かめることもできない。

だが蓮はそこを、眼前の老人を信じるという形で無視した。

そして



「――――()()()()?」



問いかける。

ニィ、と。

音もなく老人の口が裂ける。それはまるで、歳経た獣がのそりと動き出したような凄みがあった。

手が伸びる。

ゆったりとした甚平の懐を探る腕が取り出したのは、一見ルービックキューブを一回り小さくしたような立方体だった。

ツヤのないマットブラック塗装された表面は、よく見ると線が走っており、その内部からうっすらと放たれる青い光を透過していた。

どこか神秘的な引力を放つその小さなハコは、音もなく畳の上に置かれた。

「……これは?」

「ダミー・レコード」

眉根を寄せながらその物体を眺める蓮の問いは短い単語で返
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