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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
語り間
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「これは中東で反政府軍に提供された電磁パルス弾《Os#FFFF00》、通称エレクトロオーバー。高高度核爆発くらいでしか起こらん広範囲にわたる電磁パルスの散布を、この弾丸単体で半径五キロに撒き散らせる。この写真では戦車の榴弾じゃが、歩兵の持つRPGなどでも撃てるタイプもあった。これによって中東の紛争はかなり泥沼化したんじゃ」

こっちは、とマウスカーソルが動き、変な形の長いクレーンに移動する。

「ノルウェーで建設された、海上設置型マスドラバーじゃな。ほぼ山岳地帯であるノルウェーじゃが、海上から発射できるこの方式なら、いくらでも人工衛星だろうが大陸間弾道ミサイル(ICBM)だろうが撃てるじゃろう。現に近年におけるノルウェーの打ち上げ回数は異様じゃ。あまり注目されていないのは、途中で落ちた回数もまた多いからかもしれんがな」

他にも、と老人は続ける。

歩兵の運用が兵器のそれと同じレベルまで吊り上げられる駆動骨格(ムーバブルアーマー)。本来ならかなりの時間をかけて完成できるトーチカを即席で作り上げられる携帯要塞(バルーンバンカー)。さらにはオーストラリア軍で正式運用が秒読みとなっている艦載兵器、重粒子加速投射砲などなど。

出るわ出るわ、死の商人も裸足で逃げ出すような《戦歴》が、そこにはあった。

群れでではなく、単体で既存の戦術戦略を新たに見直さないといけないレベルの兵器が陳列されている。

「とはいえ、無論鉄臭くないモノも存在しておるよ。表世界での業績の大半がそれじゃ。三種類のエイズに対する新薬の開発、人の流れに干渉することによって犯罪や事故率が軽減する都市モデル理論の構築……珍しいもので言えば、現場の遺留品の表面についた僅かな傷をレコードのように読み取って当時の状況をデジタルに再現する技術、なんてものもあったな」

「…………シゲさん」

黒峰重國は気付かない。

ほんの少し、気付かないほど微量ながら車椅子に座る少年の肩が強張っていることに。

「兄ちゃんは……小日向相馬は、何をやろうとしているの?」

「ふむ、重要なのはそこじゃな。死の商人が武器を売るのは金が欲しいからじゃ。だが、彼奴の場合それは当てはまらん」

「何で?」

「桁の違いじゃよ。メジャーリーガーが年間何億でスカウトされると思う?それを同時に受けるようなものじゃ。冗談抜きで世界に流通している総紙幣のパーセンテージに載るくらいには金を持っておるだろうよ」

「……………………」

一瞬少年は、それならもっと仕送り多くしてくれてもいいのに、と思ったが黙っていた。

代わりに

「なら、それ以外の目的か」

「おそらくな。実際、小日向相馬が協力、提携した国家には明らかな意図が感じられる」

スクリーンが変転する。

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