第二百五十四話 決着その五
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元就のもう一太刀が来た、それは彼の左からから右脇まで一気に袈裟斬りにした。身体の半ばまで一気に切られ。
百地もだ、完全に動きを止めて言った。
「しまった・・・・・・」
「動きには元がある」
「だから踵をか」
「切った、それで御主を動けなくしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「止めを刺したのよ」
「そうしたか」
「間違いなく心の臓を切った」
元就はその太刀でそのことを実感しているので百地に告げた。
「終わったな」
「おのれ・・・・・・」
「死ぬ時は潔くすべきであるが」
元就は崩れゆく百地に告げた。
「そうはいかぬか」
「まだじゃ、まだわしは」
「そうは言っても最早御主の命は尽きる」
心の臓を断ち切ったが故にというのだ。
「観念するのじゃな」
「闇を・・・・・・」
最後にこう言い残してだった、百地も死んだ。
杉谷は長政の槍にだ、まずは。
己の獲物を弾き飛ばされた、そこから。
身体の胸の腹にある七つの急所をだ、続いてだった。
その槍に貫かれた、それでだった。
七つの急所全てから血を出してだ、こう言った。
「くっ・・・・・・」
「父上の仇は取ったな」
「まさかこの様な場所で」
「壇ノ浦では平家が滅んだ」
長政は杉谷に戦の場のことも言った。
「そして御主達もということだ」
「そうなったというのか」
「そうじゃ」
こう杉谷に言うのだった。
「御主達はここで滅ぶ」
「まだじゃ、まだ」
それでもと言う杉谷だった、しかし。
七つの急所を貫かれてだ。それが致命傷になり。
彼もこと切れた。その場に倒れ動かなくなった。長政はその彼の骸を見下ろしそのうえで言ったのだった。
「父上、ようやく仇を取れました」
こう今は亡き久政に言ったのだった。
「これで」
「それで満足か」
「如何にも」
その通りだとだ、長政は杉谷に答えた。
「これでだ」
「しかしわしはじゃ」
杉谷はというと。
「まだじゃ」
「まだ生きたいか」
「それが適わぬにしても」
「そして本朝に害を為したいか」
「そうじゃ、わしはな」
「まだか」
「まだ戦う、何としても」
こう言ってだ、そしてだった。
杉谷は何とか動こうとしたが適わずだ、最後には血を吐いて死んだ。長政はその彼を見て最後に言った。
「その生への執念だけは認めてやる」
その彼の横でだ、家康は。
無明、薙刀を出していた彼の。
薙刀のその柄を断ち切って刃を使えなくしてだった。
そしだ、返す刀で。
素早い斬撃を何度も繰り出した、そうして言った。
「わしの剣術の最大奥義じゃ」
「それでか」
「斬った、これを出したのははじめてじゃが」
それでもというのだ。
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