3部分:第三章
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第三章
「私はいつも考えておられます」
「素晴らしい」
なお神父は彼女のことがわかってはいなかった。
「貴女の様な方が祈って頂けるなら世界は少しでもよくなるでしょう」
「有り難うございます。それでは」
ここであるものを差し出してきた。それは。
「これは」
「お受け取り下さい」
見ればそれは宝石だった。しかもその宝石は。
ダイアモンドである。イギリス王家が持っているような。とてつもなく美しくそして大きい。そんなダイアモンドを差し出したのであった。
「ダイアですか」
「そこで拾いました」
こう言うのだった。
「このダイアを。どうか受け取って下さい」
「何処でこちらを?」
「その教会の前で」
こう言うのである。平然と。
「ですからお受け取り下さい」
「はあ。それでは」
彼は呆然としてそれを受け取った。なお彼女が拾ったというのは嘘であり実は擦れ違いにぶつかった人相の悪い男の態度が気に入らず彼のポケットからすったのである。財布だと思ったのが何とそのダイアであったのだ。
なおこの人相の悪い男の正体はとんでもないことにとあるならず者国家の工作員だった。このならず者国家は何かと悪どいことをしていることで有名だがこのダイアにしろ泥棒をして奪い取ったものであり祖国の資金源にしようとしていたものだ。神父は驚いてこのダイアのことを警察に知らせたがそこからこの工作員のこともならず者国家の悪事のことも公になった。全ては優が彼からすった結果であった。
なおこれは神父がそのまま優から聞いたことを通報したのでその結果彼女は落し物を素直に拾った今時珍しい『善い人』ということになった。彼女は悪事を働きながらそれを知られることなく善人ということになったのだった。
「すったのがあの国の工作員だったのね」
「偶然よね」
優は家の中で未来に話していた。菅国家の中でである。
「本当にね」
「偶然どころの話じゃないわよ」
しれっとした顔で居間でワインをラッパ飲みする姉に対して言う。彼女は大人しく麦茶を飲んでいる。テーブルに礼儀正しく座る未来に対して優はエマニエル夫人が座っていたあの机で彼女の左斜め前でふんぞり返りまるで女王のように話をしているのだった。
「そんなの。滅茶苦茶な話じゃない」
「事実は小説より奇よ」
優の言葉はしれっとしたままであった。
「それに私にぶつかったあの工作員が悪いのよ」
「その工作員今頃粛清されてるわよ」
「いい気味よ」
勿論粛清というのがどういう意味かわかっての言葉である。
「どのみちあのならず者国家の工作員でしょ?日本に来る方が間違いなのよ」
「だから死んでもいいのね」
「っていうか害虫は駆除しないと」
実際に今国内ではそのならず者国家の関連施設が虱潰しに捜査を受けてい
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