第三百二十五話
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第三百二十五話 ワインには
小田切君はその夜は研究所に泊まることにした、それで夜遅くまで残っている彼に博士が気付いて声をかけた。
「今日は泊まるのか」
「はい、明日朝早いですよね」
「まあ八時からな」
「研究ですね」
「わしははじめる」
「今日は遅くまで残りましたし」
「だからか」
「はい、もうここに残って」
つまり寝泊りしてというのだ。
「明日お手伝いします」
「家に帰ってもいいのじゃが」
「いえいえ、今回の実験は別に殺人関係じゃないですよね」
「車椅子の永久機関のパワーアップじゃ」
それの研究だというのだ。
「今度は瞬間移動能力も使えるな」
「そうした機関にされるんですよね」
「そのつもりじゃ」
「僕殺人とかテロにはノータッチですけれど」
博士の楽しみにはだ、もっとも博士の方もこうしたことは自分だけの楽しみとして小田切君の希望を尊重している。
「そうしたことなら」
「手伝ってくれるのじゃな」
「そうさせてもらいます」
「わかった、ではな」
「はい、明日は四時半に起きてランニングして」
そしてというのだ。
「お風呂に入ってです」
「後は朝食じゃな」
「そのうえであたります」
「わかった、ではな」
「はい、泊まらせてもらいます」
「それではな」
「じゃあ今から飲みます」
時計を見れば九時だ、その時間をチェックして言った。
「ワインを」
「そして寝るか」
「そうしますんで」
「ではワインの貯蔵庫から好きなものを出すとよい」
助手には寛容な博士である、ただし小悪党は嫌いなので容赦なく虐殺し実験の素材に使ったりしてしまう。
「つまみもな」
「チーズあります?」
「あるぞ」
「じゃあそれも頂きます、あとサラミは」
「それもあるぞ」
「じゃあそっちも」
こうしてだった、小田切君は寝酒に入った。早速ワインを貯蔵している冷蔵庫から赤ワインを二本程出してつまみも出したのだった。
第三百二十五話 完
2016・3・23
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