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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十三話 ベーネミュンデ事件(その3)
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すね。そのほうが良いでしょう」
リヒテンラーデ侯の心配はもっともだ。
「卿、頼めるかの」
「……承知しました」
仕方ない、グレーザーではこちらの頼みを聞いてもらったからな。

「それと、噂が流れた後の調査じゃが、卿に頼みたい」
「小官ですか」
ちょっとそれは待て。過重労働だ。
「加減が難しい役じゃからの」

「そんな役は小官には無理です」
そう、無理だ。
「卿はいいのじゃ」
「?」
「卿は怖いからの。卿にふざけたことを言う者はおるまい」
御老人、そんなに嬉しそうに言う事は無いだろう。大体俺ってそんなに怖いのか? 皆誤解していないか?

「……」
「先日のローエングリンでもブラスターで脅したそうじゃの、死ぬか不敬罪か選べと」
いや、あれはちょっと虫の居所が悪かっただけで……。
「……」
「フッフッフッ、頼むぞ」
俺は上司運に恵まれない、つくづく恵まれない。大体怖いと思ってるならなんでそんなにニヤニヤしてるんだ。



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