第十五話 イタリカの戦い
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無意味な戦力投入による度重なる敗北により、帝国の基盤は崩壊が始まり、そしてそんな状況にまで帝国が追い込まれた状況でのピニャの初陣。確かに戦に出たいという思いは強かったが、しかしそれは敵国人ではなく、まさか帝国と連合諸王国軍の盗賊化した敗残兵が相手であると思いもしなかったのだ。騎士団は辛うじて士気を保っているが、いつ終わるかもわからない戦いが続くなかで市民兵達の士気はどん底である。こんな最悪な形で初陣を飾った為に、ピニャは悔しい思い出いっぱいであった。
(もっと早く妾の騎士団を出せば……)
そうすればアカツキ帝国軍とも戦えたはずだと……そんな思いを抱きながらフォルマル伯爵家の館に戻り、軽い食事を取った後に客間で仮眠を取る。いざという時は水でもぶっかけて起こしてくれと言ったが、そうならないようにと思い仮眠を取ったが、実際に彼女を起こしたのは水によるものだった。
「何があった?敵か!」
「はたして敵か味方か、とにかく東門にてご自分の目でご覧ください」
「なに?」
騎士団の教官役でもあるグレイにそう言われて、ピニャは東門の方に向かう。そこには見た事もない荷台が五台ほど東門の近くで止まっていたのだ。中にいる人間も見た事もない斑模様の鎧を着ており、グレイの言う通りに、確かにこれは判断に困るとピニャも思った。
ーーー。
そして場所は変わる。第三偵察隊は、避難民達の生活費を得るためにカトーの知り合いの商人がいるイタリカに向かい、第三偵察隊もイタリカの情報収集の為に出向く事になったが、しかしイタリカの状況は極めて最悪であった。城門に並び立つ市民と兵士達は、切羽詰まった表情でクロスボウや弓を構えており、そして機械式の連弩も、こちらに照準を合わせているのが分かる。指揮官の一人と思われる男も、敵でないなら姿を見せろと叫んでいるのだ。
「明らかに戦闘があった後だな」
「うえ〜大歓迎だね」
島田と伊丹は、切羽詰まった町の状況を見て明らかに商談も偵察任務も出来ないよなと思った。そこで伊丹はレレイ達に商談が出来そうにないし、レレイ達の身の安全の保障も出来ないから引き返そうと提案するが、レレイはこれを拒否した。
「ここで引けば、相手は私達が敵対勢力だと誤認される恐れがある。イタミ達はまってほしい。私が話をつける」
「ちょっとまってレレイ。私達の都合で、この人たちを巻き込んでいいの?」
妖精エルフであるテュカは、レレイに対して伊丹達を巻き込こんでいいのかと詰め寄る。
「だからこそ行く。私達が敵ではないと伝える。恩を受けているイタミ達の評判を落とさない為に」
「……わかった。私もいく。ちょっとまって矢避けの加護を……」
ここまでレレイに言われて、テュカも仕方ないと言った表情で同行する事を決意した
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