第十五話 イタリカの戦い
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騎士団ごっこ」として馬鹿にされていたが、現在は帝国の数少ない戦力しても投入されている。それは、先ほど話したように、アカツキ帝国と日本との戦争で度重なる敗北による帝国貴族の戦死者続出した為である。モルトが健在の時はアカツキ帝国だけを相手にした時ならば、帝国も予備兵力を入れてギリギリではあるが、帝国支配権を維持するだけの影響力はあった。
しかし、ゾルザルが王位についた時に状況は変わった。皇城を爆撃されて和平派が主戦派を押して、直ぐにでもアカツキ帝国と和議を結ぼうとしたのだが、ゾルザルが徹底抗戦を強調して、和議派は帝国を敵国に売り渡す売国奴として罪を着せられて、強制的に左遷されてしまい、逆らった人間は殺されるという結果となり、ゾルザルの側近と旧モルト家臣の主戦派が主体となってしまったのだ。そのため、ゾルザルは初陣として最近になって門が開いた先がアカツキ帝国の首都と思い、首都を制圧して、新皇帝としての威光を知らしめようと考えたが、これが失敗に終わり、そして連合諸王国軍を形成して挑んだが、これも大敗北という形で終わってしまった。
そして、アカツキ帝国と門の先にある異世界との遠征による敗退が重なり、帝国の基盤は崩壊が始まったのだ。度重なる敗北による兵員不足は深刻化しており、本来ならお飾りの騎士団扱いの薔薇騎士団も実戦に投入しなければいけない状況に追い込まれ、そして現在はイタリカが盗賊集団に襲われているという情報が入り、このイタリカ防衛に薔薇騎士団が派遣されたのである。
「ハミルトン、ボーゼス。騎士団と市民兵達に交代で食事と休息を取らせろ。妾は館で食事を取ってくる」
ピニャはそう呟き、館の方へ向かう。館に向かう途中に見る市民兵士達に、ピニャは苛立ちが心の中を埋め尽くす。
(これが妾の初陣だというのか……)
今まで散々正規の騎士団や王族や貴族達に「ごっこ遊び」と馬鹿にされてきた。アカツキ帝国が帝国に対して宣戦布告を宣言した時も、ようやく薔薇騎士団の出番が来たと意気込んだ思いで自分の父であるモルトの討伐命令を期待したが、しかし命令は下されなかった。ピニャは無礼にも帝国以外が帝国を名乗る蛮族に対して、どうして王族である妾を出してくれないのかと迫ったが、モルトからは「ごっこあそびと本気の戦は違う」と言われて、ピニャの言い分を聞きはしなかった。
だが、それが余計にピニャの自尊心を傷つける羽目になったが、討伐軍に編成されないので、無理矢理討伐軍に加わる事は出来ない。いくら王族のピニャでもモルトの威光には逆らえる事は出来ないので、いつかは討伐軍として騎士団を率いる事が出来ると判断して実戦に向けた訓練を続けた。
いつかは戦に出るという強い思いは抱きながら初陣の機会をまったが、ゾルザルが王位について全てがピニャの思惑とは違う方向に進んだ。
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