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デビルシスター
10部分:第十章
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第十章

「私の足を踏んだのよ。頭の毛なくなるだけでもまだましでしょ」
「男の人だけじゃないけれど髪の毛ってどれだけ大事かわかってるわよね」
「勿論」
 胸を張って答える。
「わかっててやってるのよ。悪い?」
「物凄く悪いわよ」
 言うまでもないことであった。男にとっても女にとってもそれが人道にもとる悪逆非道の行動であることは当然だ。髪の毛はやはり命であるからだ。
「何処まで悪人なのよ、お姉ちゃんって」
「褒め言葉有り難う」
「褒め言葉じゃないし」
 また言い返すが勿論それは通用していない。
「それで先生だけれど」
「あれからね。出家してね」
「出家したの」
「そう、出家」
 言うまでもなく仏門に入ることだ。安土桃山時代辺りまでは結構以上に出家する者が多かった。戦国大名で有名な武田信玄も上杉謙信も出家しての名前である。
「出家してね。教授のまま仏門に入って」
「ふうん、意外な展開ね」
「今では徳のある偉大なお坊様よ。凄いでしょ」
「それもこれもお姉ちゃんが髪の毛を全部脱毛させたからなのね」
「そうよ。私が偉大なお坊様を一人作ったのよ」
 ここでまた胸を張る優だった。
「そしてそのお坊様がよ」
「ええ」
「困っている人達の心を救っているのよ。私のおかげでね」
「そうだったの。何かそれを聞いたら」
 未来は腕を組んで憮然とした顔になりながら述べるのだった。
「いつものパターンじゃない、まんま」
「そうよ。私が何かすると」
「そうよね。本当にいつも」
「それが世の中にとっていい結果になるのよ」
 ここでもまた胸を張ってみせる。
「あんたもそれで学校の成績があがってお料理や家事が上手くなって彼氏ができて結婚もできたでしょ」
「まあね」
 それは事実だったので認めはする。
「つまり全部私のおかげよ。感謝しなさい」
「感謝しないわよ。大体よ」 
 段々怒った顔になって大きな目を座らせながら語る。
「いつもいつも悪いことをして何でそれが毎回毎回素晴らしいことになるのよ」
「言っておくわ、あんたに」
 場違いに堂々と語る。
「人間一人の悪事はね」
「ええ」
「たかが知れてるのよ」
 こう語るのだった。
「所詮はね。そして悪意ではじまったことも時としていい結果になっていくものよ」
「それがお姉ちゃんの場合はいつもなのね」
「その通りよ。いつもそうなるだけよ」
 平気で言うが物凄い話である。優には自覚はないようだが。
「だから私はいいことをしてるのよ」
「全く。何でそうなるのよ、本当に」
「例えばよ。あんたにも実はね」
「私に!?」
 何をされたのかと思いギクリとなる。
「何したのよ、今度は」
「はい、これ」
 言って無表情で右手の親指と人差し指に持って見せてき
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