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デビルシスター
10部分:第十章
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たのは小さな針だった。
「これで前にあんたのお家に遊びに行った時にね」
「あの時に?」
「実はコンドームを全部プスプスって」
「ええっ!?」
 それを聞いてそれこそ顎が外れんばかりに驚く未来だった。しかも目は思いきり飛び出てしまっている。大きな目が余計に大きく見える。
「ってことはつまり」
「あんた浮気とかしてないわよね」
「そんなことするわけないじゃないっ」
「宜しい。それでこそ私の妹よ」
 実は優にしろ未来にしろ浮気は嫌いだったりする。この辺りは立派だ。
「じゃあ安心しなさい。子供は旦那さんの子供で間違いないから」
「そういえば最近生理が来ないと思ったわ」
「できたのね。おめでとう」
「おめでとうじゃないわよ。子供はまだ先って考えてたのに」
「コンドームみたいなせこいことする方が悪いのよ」
 また平然と返す優だった。
「それよりよ。堂々とよ」
「堂々でも何でもこっちにも考えがあるのよ。何てことしてくれたのよ」
「そもそもコンドーム使わない時だってあったんでしょ?」
「安全日の時はまあ確かに」
「安心しなさい。そう言ってもした時はできるものだから」
「けれどよ。それでも何でそんなことしたのよ」
 流石に今の姉の悪事には牙を出さんばかりに怒っている。
「また一体。悪気があって!?」
「勿論よ」
 やはりそうであった。
「悪気がなくてこんなことすると思う?」
「まあそれはね」
 考えられないことだった。この姉に限って。
「それはわかるけれど」
「安心しなさい。私が作らせてあげた子供よ」
 優は早速誇らしげに語る。
「きっといい子になるわよ」
「うう、何でいつもこうなるのよ」
 歯噛みするしかない未来だった。しかしこの時に生まれた子がやがて人々の為に貢献しやがてはノーベル平和賞まで貰うようになるのだから彼女の悪意がまたよいことになるのだった。そして優はそれからも死ぬまで悪事を続け結果としてそれが多くの人々の為になっていくのだった。まことに世の中はわからないものである。悪意が善を産み出すのだから。


デビルシスター   完


                  2009・5・5

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