第79話
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してまたエステル達を呼ぶ声が奥からした。
「……時間がない!捕まりたくないんだろう!?」
「空耳ではなさそうじゃの。」
「こうなりゃ仕方ねえ!ダメもとで行ってみるぞ!」
そしてエステル達は奥から聞こえてくる声に誘導されて、ある部屋に入った。
〜レイストン要塞・司令官室〜
「間一髪だったな。」
部屋の中に入ったエステル達を見たのはなんと、以前エステル達の追及を誤魔化したシード少佐だった。
「やっぱり……!」
エステルはシードの顔を見て、自分達を導いた聞き覚えのある声に納得した。
「さあ、念のため鍵を。」
「わかりました」
シードに促されたヨシュアは入って来たドアの鍵をかけた。
「フン、何のつもりじゃ?レイストン要塞の守備隊長。リシャール大佐に、わしの監禁を命じられていたのではないのか?」
シードを見た博士は鼻をならして、シードを睨みながら言った。
「……その節は失礼しました。すでに王国軍は、大佐の率いる情報部によって掌握されています。主だった将官は、懐柔されるか、さもなくば自由を奪われる始末……。モルガン将軍も、ハーケン門に監禁されている状態なのです。」
「えええっ!?あのガンコ爺さんが!?」
「大変なことになっていますね……」
「おいおい、一体どうしてそんな事になっちまったんだ?王国軍ってのはそこまでモロい組織なのかよ。」
「全く………なさけないですわね。それで軍として成り立っている事に呆れますわ。」
シードから王国軍の現状を知らされたエステルやヨシュアは驚き、アガットやフィニリィは王国軍が組織としてあまりにも脆すぎている事に呆れた。
「残念ながら……。帝国との戦いが終わってから軍の規律は少しずつ乱れていった。特に将官クラスの者たちの間で横領・着服・収賄が絶えなかった。そこをリシャール大佐に付け込まれてしまったのだ。」
シードは今の現状を暗い表情で語った。
「なるほどのう……。持ち前の情報力を駆使して弱みを握ったというわけか。」
シードの説明を聞いた博士は納得するように頷いた。
「その通りです。モルガン将軍が監禁された今、リシャール大佐は王国軍の実質的なトップとなりました。」
「と、とんでもないわね……」
「アリシア女王はどうだ?王国軍の指揮権は、最終的に女王に帰属するんじゃねえのか?」
リシャールが軍を牛耳っている事を知ったエステルは驚き、アガットはある事に気付いて尋ねた。
「不可解なことだが……女王陛下は沈黙を保ったままだ。陛下の直属である王室親衛隊も反逆罪の疑いで追われている……」
「は、反逆罪!?あのユリア中尉たちが!
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