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豚とトリュフ
5部分:第五章
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第五章

「これもあの婆さんのおかげだな」
「ああ、全くだよ」
「上手く話を決めてくれたよな」
「しかしな」
 ここで豚達のうちの一匹がふと言った。
「一つ気になるんだけれどな」
「んっ!?何がだよ」
「何が気になるんだよ」
「いや、あの婆さんな」
 ここでその豚はその顔を急に暗くさせていくのであった。
「言ってたよな。俺達のこと美味そうだってな」
「げっ、そういえば確かに」
「言ってたよな」
「ああ」
 その言葉を聞いてすぐにそのことを思い出した豚達だった。
「じゃあまさか俺達」
「あの婆さんに食われるのか?」
 豚といえば食べられる為にいる、家畜はそういう宿命にあると思っていい。当然彼等も豚でありそのことを知らない筈がない。それで誰もが一斉にその顔を暗くさせたのである。
「何にされるんだ?カツか?」
「いや、ポトフとか言ってなかったか?」
「ああ、そういえば」
 話す内容は彼等にとっては暗鬱極まるものであった。
「言ってたよな。ポトフかよ」
「せめてステーキにして欲しいよな、豚のな」
「どっちみち一緒だろ、それ」
「そうだよ、食われるんだからな」
 そう話していく。しかしここで。その老婆の声がしたのであった。
「ふぁっふぁっふぁっ、安心するのじゃ」
「げっ、その声は」
「豚食いの婆さん」
「もう来たのかよ」
 豚達は今の言葉を聞いて一斉に声がした方に顔を向けた。するとそこには確かにあの老婆がいたのであった。またしゃんと立ってその手に杖を持っている。
「あれは冗談じゃよ」
「冗談!?」
「冗談だって!?」
「確かにわしは豚が好きじゃがあんた達は食べんよ」
 楽しそうに笑って彼等に告げるのであった。
「別にのう」
「食べないって言っても」
「ちょっと」
「本当じゃよ。わしが食べるのはそれこそこだわりがあってじゃ」
 そんなことを話してもきた。
「あんた達みたいなのは食べんよ。黒くて身体の締まった特別な豚じゃ」
「そうなんだ」
「じゃあ安心していいんだね」
「してくれ。さて、それでどうじゃ?」 
 あらためて彼等に問うてきたのであった。
「トリュフの味は」
「いや、やっぱりいいよ」
「最高、っていうかね」
 豚達はそのトリュフも食べながら笑顔で老婆に話した。
「美味いものは独占してはいかんのじゃよ」
「うん、その通りだよ」
「こんな美味しいもの人間だけが食べるってのは不公平だよね」
「僕達だって見つけてるんだし」
「あんた達が見つけているのならあんた達に食べる権利はあるのじゃ」
 老婆はまた言った。
「そういうものじゃよ」
「だよね。有り難う、お婆さん」
「おかげで楽しく食べてるよ」
「これからはあんた達も食べるのじゃ」
 老婆はこう
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