第66話
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始め、トリッキーな技を使う執行者だ。一筋縄では行かないと思う。」
ユリア大尉の話を聞いたエステルは声を上げ、クローゼは信じられない表情で呟き、アガットとレイスは真剣な表情になって呟き、ヨシュアは冷静な表情で敵の情報を説明した。
「そっか……。でも、敵の正体が分かっただけ、他の塔よりはマシだと思うし……。うん!まずは”翡翠の塔”に行きましょ!」
「了解した。発進準備!これより本艦は、ロレント地方、”翡翠の塔”に向かう!」
そしてアルセイユは飛び立った。
〜グランセル国際空港〜
「フッ……これで猶予期間も終わりか……。いや、まだ最後のチャンスが残っているかな。」
「ま、待って〜!」
空港から飛び立つアルセイユを見届けたオリビエが静かな笑みを浮かべて呟いたその時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おや、君たちは……」
声に気付いたオリビエが振り向くと、そこには息を切らせているドロシーとナイアルがいた。
「ああ、行っちゃった……」
「ぜいぜい……ま、間に合わなかったか。」
飛び立つアルセイユを見たドロシーとナイアルは肩を落とした。
「どうしたんだい、記者諸君?また竜事件のように乗り込むつもりだったのかな?」
「ああ、それとヨシュアが帰ってきたって聞いたんでな。まあいい、ドロシー。急いで”アルセイユ”を撮れ!望遠レンズを使えばそこそこ使える画が撮れるだろ。」
「アイアイサー!」
「フフ……」
祖国が緊迫した状況に陥っていてもいつもの調子を見せるドロシー達の様子を微笑ましく見守っていたオリビエはその場を静かに離れた。
「……挨拶は済んだのか?」
オリビエが発着場の出口に着くと、ミュラー少佐が待っていた。
「フッ、一応ね。そちらの準備はどうだい?」
ミュラー少佐に尋ねられたオリビエは頷いた後、尋ねた。
「叔父上の方は何とかなった。宰相閣下も、むしろ好都合だと判断されたようだ。」
「確かにあの人なら王国人受けしそうだからね。フフ……楽しくなりそうだ。」
「まったく……何という悪趣味なヤツだ。彼らの驚愕した表情が今から目に浮かぶようだぞ。」
オリビエの計画によってこれから何が起こるか想像できていたミュラー少佐は呆れた表情で呟いた。
「ハッハッハッ。まさにそれが狙いだからね。―――まあ、ボクの正体を見抜いていたどころか、ボクが”本当の立場”でリベールに現れる時が近い事を悟っていた王子殿下なら”次に相見えた時”に”ボクの本当の狙い”すらも見抜くかもしれないね。」
「”リベールの若獅子”か…………情報によればかの
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