第64話
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すか!?」
アリシア女王が『ハーメルの惨劇』を知っていた事に驚いたエステルがアリシア女王に訊ねると、モルガン将軍が代わりに答えた。
「戦争開始時、エレボニアは宣戦布告をリベールに行ったが……その時、ハーメル村の虐殺が王国軍によって起こされたという断固とした指摘がなされていたのだ。しかし終戦間際、帝国政府は突如としてその指摘を撤回し、即時停戦と講和を申し出てきた。……ハーメルの一件について一切沈黙することと引き替えにな。」
「!!!」
そしてモルガン将軍の説明を聞いたエステルは絶句した。
「……前後の事情を考えると、帝国内部でどんな事があったのか朧げながら想像がつきました。ですが、反攻作戦が功を奏し、帝国軍は未だ余力を残していました。帝国本土からの増援があったら、王国は再び窮地に陥る事になる―――そう判断したわたくしは……その条件を呑むことに決めました。」
「あ……」
「………………………………」
アリシア女王の話を聞いたエステルは呆けた声を出し、ヨシュアは辛そうな表情で黙り込んでいた。
「……自国の安寧を優先してわたくしは真相の追及を放棄しました。背後にいるはずの被害者たちの無念を切り捨ててしまったのです。かつてロランス少尉がわたくしに告げた『哀れむ資格はない』という言葉……あれは真実、的を射ていたのです。」
「女王様……」
「……どうかご自分をお責めにならないでください。そもそも虐殺に関わりがない上に自国の平和がかかっていたのです。国主としては当然の判断でしょう。」
目を伏せて語るアリシア女王をエステルは心配そうな表情で見つめ、ヨシュアは静かな口調で慰めの言葉をかけた。
「ヨシュア殿……」
「このリベールという国は僕の凍てついた心を癒してくれた第2の故郷ともいう地です。その地を守った陛下のご決断、感謝こそすれ、恨みなどしません。」
「ヨシュア……」
「ありがとう……ヨシュア殿。そう言って頂けると胸のつかえが取れた気がします。」
ヨシュアの答えを知ったエステルはヨシュアを見つめ、アリシア女王がヨシュアに感謝したその時
「エステルさん、ヨシュアさん!」
「あ……!」
「みんな……」
クローゼ達が謁見の間にやって来た。
「エステルさん、よくご無事で……。それに……ヨシュアさんも……」
「よ、よかったぁ……。2人とも帰って来てくれて……!」
「クローゼ、ティータ……」
「2人とも……心配をかけちゃったみたいね。」
「まったくもう……。肝を冷やしてくれるじゃない。」
「へへっ……。だがまあ、家出息子を連れ戻せて何よりだったな。」
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