閑話―呂布―
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
切り音が聞こえてくる。聞きなれたその音色は素振りの音だ、猪々子の大刀よりも小振りな音。
「……!」
「む、恋ではないか」
素振りをしていたのは袁紹だった。恋の来訪にも止まる事無く、正眼に構えた剣を振り上げて下ろす。驚くべきはその完成度。剣筋には一切の乱れが無く、振り下ろした刃は同じ位置で静止している。
恋ですらここまで正確には振れない。いったい幾千、幾万振ればその域に達するのだろうか……
「……」
邪魔をすまいと壁に背を預けて座る。やがて疲れもあってか、規律の良い風切り音を音色に目蓋が閉じていった。
「そういえば――」
一頻り素振りし終わった袁紹が突然口を開き、恋に話しかける。
寝惚け眼で袁紹の言葉に意識を向けたが――……
彼女の睡魔は次の一言で完全に吹き飛んだ。
「――恋とは試合った事が無いな」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ