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恋姫†袁紹♂伝
閑話―呂布―
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兵士達が隠されている御輿を取り押さえていた。
 将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、王佐の才に違わない手腕である。

 しかし――

「いつから御輿が一つだと錯覚していた」

「なん……ですって!?」

 いつの間にか第二の御輿が袁紹の背後から現れ、桂花達の目が大きく見開かれた。
 
 袁紹とて凡愚では無い、御輿による逃亡には限界があることを理解していた。
 一番の危険は御輿を封じられること、王佐の才(桂花)であれば必ず手を打ってくる。それを読んでいた袁紹は、作業の合間に即席の御輿を作らせていたのだ。

「フハハ! あばよ〜とっつぁ〜ん」

「今よ、恋!」

「……」

「む!?」

 御輿に乗ろうとした袁紹の袖をいつの間にか恋が掴んでいる。否、摘んでいる、指先二本で軽く……
 いくら恋が剛力とはいえ、袁紹がその気になれば振り払える力加減。

「恋、すまぬが――……ッ!?」

 無理矢理外す気にはなれず、穏便に離してもらうため声をかけ―――絶句。
 
 恋は離したのだ、捨てられた子犬のような顔で。
 襲い来る罪悪感。 めいぞくのココロに 999のダメージ!

 これぞ桂花が仕掛けた、(御輿)では無く心を縛る策。
 結果名族は、恋の愛らしさの前に大敗。作業員達との大義(酒盛り)を捨て、家臣の元に降った。









 日が沈み、南皮の食事処を渡り歩いていた恋は屋敷に帰って来た。
 ある日は星達との鍛練、ある日は家族とお昼寝、今日は袁紹達との戯れ。恋の毎日は大体これの繰り返しであるが、飽きる間などあるはずもない。
 鍛練にせよ、騒動にせよ、日々目新しい発見ばかりだ。そして今も――

「……?」

 自分の部屋に向かう途中、中庭が一望できる通路から不自然な明かりを発見した。
 修練場の方だ、今の刻限に鍛練する者を恋は知らない。彼女は好奇心の赴くまま、そこに向かった。

「誰だ! りょ、呂布様!?」

「呂布様、何か御用で?」

 修練場の前には兵士が控えていた。ただの見張りではない、鎧を纏っていないが重騎隊の者達だ。
 厳重な警備、仮に恋が突破を試みても時間が掛かるだろう。

「……?」

「ああ、この中ですか……恥ずかしがりやが居るのですよ」

 言って、顔を見合わせながら笑い出す兵士達。
 恋の疑問は益々深くなるばかりだ。そんな彼女の様子を感じ取ったのか、兵士が修練場の扉を開け入室を促す。
“いいの?”と目で語りかけると、“呂布様であれば問題ありません”と答えが返って来た。 



 修練場に入った恋、彼女が始めに感じたのは熱気だった。窓が締め切っており、外の程よい風は一切無い。
 壁を隔てた中央からは規律的な風
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