閑話―呂布―
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粋に童心からだろう」
『焦ったゼ』
「桂花」
「きゃっ!? ちょっと恋、気配を消さないで来なさいよ! ……セキト達は?」
「お昼寝」
「お昼寝中だったの!? ご、ごめんなさい」
猫耳をしょんぼりとさせて謝る桂花。恋は衝動的に彼女の頭を撫でたかったが、以前微妙な顔をされたことを思い出し、踏み止まった。
昼寝は恋やその家族たちにとって大事な時間である。余程の事が無い限り欠かしたことは無い。
桂花が吹く笛の合図が、その数少ない緊急事態の一つである。
「じゃあ、今日もお願い恋」
「ん」
目を閉じ、鼻をスンスンと澄ませる。少しして、ご馳走の匂いでも感じ取ったようにふらふらと歩き出す恋。
桂花は十数人の兵士を伴い、彼女の後を追った。
南皮郊外。元難民達による都市開発が推し進まれており、一部の地域に一際輝きを放つ人物が居た。
「か〜ちゃんのため〜な〜ら、え〜んやこら」
『か〜ちゃんのため〜な〜ら、え〜んやこら♪』
「かぞ〜く〜のため〜な〜ら、え〜んやこら」
『かぞ〜く〜のため〜な〜ら、え〜んやこら♪』
名族である、彼の唄を皆で口ずさみながら作業していく。
南皮の開発が始まって以来、袁紹は度々屋敷を抜け出し作業に参加していた。
作業員達は雲の上の人物の到来に、当初怯えに近い恐縮状態になったが、袁紹の人となりに触れ、あっという間に打ち解けた。今では棟梁と呼び慕っている。
「棟梁ぉぉ、てぇへんだぁぁッッッ!!」
「どうしたサブ吉!」
「いやオラの名は――「サブ吉!」……猫耳が接近中だよ」
サブ吉の報告に作業員達が騒然としだした。猫耳とは天敵と俗称である。
「あー! いた!!」
「げぇっ桂花!」
「『げぇっ桂花』じゃありません! また屋敷を抜け出して、何を考えているのですか!!」
早過ぎる猫耳の到着に目を白黒させていると、彼女の近くに見知った影が一つ、恋である。
知人に挨拶でもするかのように手を振っていた。
「ぬぅ、またしても特別捜索隊か」
相次ぐ袁紹の脱走により設立された『特別捜索隊』 恋とその家族で構成された彼らの任務は、優れた嗅覚を使った名族の追跡である。
恋ひとりでも、その役割をこなせると言うのだから驚きだ。彼女曰く『お日様の香り』を追っていくと袁紹に行き着くのだそうだ。
桂花が羨ましがり、その極意を伝授してもらおうと躍起になっているのは――……
師匠である恋のみぞ知る。
「フハハ! だが我には――「御輿は既に確保済みです」なん……だと」
桂花が注目を引き付けている内に、彼女の
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