閑話―呂布―
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、鍛練や試合に関しては真意な姿勢で臨んでいる。そんな彼女と相対して上の空でいるなど、星の誇りに対する侮辱である。
「……ごめん」
「あ、いや、責めている訳では……まいったな」
目尻を下げ謝罪する恋。その悲壮感漂う姿に星は困惑する。
彼女としては言葉通り責める気は無い。無理矢理つき合わせている形でもあるし、恋の武が自身の数段上をいく事も把握している。事実、不意を付く形となった突きを避けられたのだ。
自分に意識を向かわせようと躍起になりこそすれ、責める気は毛頭無い。
しかし、恋は素直で純粋な娘だ。
星が気にしていなかろうと自分に非があると考えれば、納得いくまで反省するだろう。
『しゅん』と項垂れる姿はどこか痛々しい。犬耳があれば垂れ下がり、尻尾があれば丸めているに違いない。
「では今から全力で手合わせしてくれ、それで不問にしよう」
「!」
その提案に喜色を込めて頷く恋、『やれやれ』といった様子で星は構え直した。
納得できないのなら、納得できる条件を与えれば良い。この展開は予想していなかったが、全力の恋を相手とれるなら文句は無い。
『…………』
両者の間に沈黙が流れる。息苦しさを感じるほどに空気が張り詰め、試合であることも忘れそうな緊張感が漂った。
「……」
恋は距離を詰めかねていた、原因は星の構えだ。
柄の末端を握り、槍の間合いを最長に維持している。迂闊に近づけば、自身の間合いの外から神速の突きが放たれる。
「……」
とはいえ、このまま硬直していても仕方ない。星が待ちに徹するなら此方から攻めるまで。
もともと自分は攻めの武人だ、神速の突きであろうと、それを弾き自身の間合いに持ち込めば――
「!?」
一歩前に出ようとした瞬間事が起きた、星が仕掛けたのだ!
恋が足を動かすとほぼ同時に距離を縮め、突きを放つ。
三連突き、星は一呼吸に三つの突きを放つことが出来る。
狙うは顔面、喉、水月、人体の急所を的確に穿つ。無論、寸止めに留める所存だ。
「――ッ」
恋は得物を縦に持ち替え辛うじて防ぐ、突きが正確であることが幸いした。
「フッ、流石だ恋」
星は追撃せず後退、再び距離を取り間合いを開けた。
――完全に虚を突いたのだがな
余裕が無い事を隠すため、辛うじて笑みを浮かべる。
最初の構えから彼女の作戦だった。間合いを開き待ち構え、焦れて接近した瞬間を狙う。
虚を突くため相手の挙動が一歩遅れ、奇襲に近い先制が取れる。そこに自身の三連突き。
並みの将なら成す術も無く、たとえ猪々子等でも反応が遅れ喉下に槍を突き出されたはずだ。
冷や汗が頬を伝う。
恋は反応どころか防いで見せ
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