暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜紫紺の剣士〜
アインクラッド編
9.卵を取りに行こう!
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いねぇ、やっぱ」
「俺が先に行く。ついてきてくれ」
「りょーかい」
返事を返したシルストはとても楽しそうだった。


***


「シーちゃん、大丈夫ー?」
「大丈夫ー!」
ミーシャがかけた声に全く不安を感じさせない返事が返ってきて、アンはとりあえずホッとしてため息をついた。目的の大木はかなり滑りそうだが、2人は危なげなく上っていく。シルストはもともと田舎の生まれで、よく山を駆け回っていたらしい。この調子なら、すぐに巣に辿り着けそうだ。差し渡し2メートルはありそうな巣をぼんやりと見上げ、ぽつりと呟く。
「・・・にしても、なんで前にアルトが来たときは何もなかったんだろ・・・」
「それもそうね」
傍らに生えていたキノコ――――――これはぬるぬるしていない――――――に腰掛け、クリスティナは軽く首をかしげた。
「あれだけ分かりやすいオブジェクトなのに、何もないっていうのは少し変だわ。単なる景色にしては大きすぎるし」
「そうだな。前にアイツがここに来たのはいつだったんだろうな?」
「まぁ、シーちゃんとアルトがすぐに教えてくれるよ。高いけど、20メートル位だし」
ミーシャがそう言った直後、「あったよ!」と声が聞こえた。
「今回は当たりだったみてぇだな、タクミ」
「ん、よかった」
珍しくタクミの口角が上がっている。地上の6人が見上げると、シルストが卵を持ち上げて見せたところだった。
―――――――かなり大きい。
「ダチョウの卵より大きいんじゃねぇか?」
「ダチョウの卵を見たことがないから分かんないけど・・・2人ともありがとう!降りといで!」
ミーシャの言葉に手を振って返事をすると、アルトとシルストは巣を出て大木の幹に乗り移った。
その時だった。
「気を付けろ!!」
「モンスター!!」
アルトとタクミが同時に叫んだ、その直後。上空をさっと影が横切った。それは、5メートルほどはありそうな巨大な鳥だった。鳥は甲高い声で鳴くと、アルトとシルストのほうに襲いかかった。内心の焦りをあらわにした声音でアンは叫んだ。
「先輩!アルト!」
まず狙われたのはアルトの方だった。真っ黒な翼を広げ、漆黒の嘴を真っ直ぐに突き出す。アンは咄嗟に円月輪(チャクラム)を投擲したが、翼を掠めただけに終わった。
「ダメだ当たるぞ!」
リヒティが叫んだその瞬間、アルトは思いがけない行動に出た。
地面と水平な枝に飛び移り立ち上がると、モンスターに蹴りを放ったのだ。心なしか悲鳴に似た鳴き声を上げ、2人から離れていく。すぐにアルトはシルストのそばに戻ると
「すまない」
と言い、シルストを片手で抱き抱えた。
「んなぁアンタ何すんのぉ!?」
「降りる」
宣言通り、アルトは標高20メートルの高さから―――――跳んだ。
「ウソだぁぁぁ!!」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ