第25話 プール掃除にて
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直面しながらも黒と白の半身は、沈み色味が落ちていく学園都市を眺めた。
「じゃあ、僕らの負けかな。復活には心の闇が必要だけど」
「ヤリヨウハ幾ラデモアル......行クゾ」
この世界は絶望に包まれている。
深い絶望は、必ず闇を生む。
白い半身と黒い半身は互いくっ付き一人の人間の形に近くなる。
肩下からトゲが飛び出して、大きな口を形成し二者を飲み込もうとする寸前で止まった。
それは、獲物を待つ食虫植物のように見えた。
「じゃあ、今度は僕の番だね。どんな感じで追い詰めようかな」
「遊ビジャナイ......真面目ニヤレ」
サソリが所属していた「暁」のメンバー「ゼツ」は学園都市のビルの中へとすり抜けるように沈んで行った。
******
佐天さんと再会してから翌日、御坂達は上記のようにプール掃除を罰として課せられていた。
そこへ。
「あら、どなたかいらっしゃって?......白井さん?何をなさってますの?」
フワフワと癖っ毛のある学校指定の水着を着用している女性が上着を着て、バッグを肩に掛けている。
もう一人は黒髪のストレートだ。
「あら」
白井は、振り返りながら見覚えのある顔にへなっと力を抜く。
「見ての通りのプール掃除ですわ」
「まあ、なぜ貴方が?」
「門限を破った罰ですのー」
「それはお気の毒ですわね」
黒髪ストレートの女性が苦笑いを浮かべた。
常盤大中学は学園都市でも屈指のお嬢様学校として知られ、立ち振る舞いや言葉の節々から上品さが出ている。
「そういう貴方達は?」
プール底から白井が逆に聞き返す。
「わたくし達は水泳部ですので濾過タンクの点検を。一年生の役割なのです」
御坂は、スクール水着を見やる。
黒子のクラスメイトみたいね
......て事は年下かぁ
発育がよろしくって結構ですな
スクール水着から少しだけ自己主張をする胸を見ながらムッとしかめっ面をした。
「あのー、お訪ねしたいことがあるんですけど」
クセっ毛のある女性が屈んで御坂に向けて手を挙げた。
!!?
マズイ口に出ていたかしら?
ゴホンゴホンと白白しい咳払いをした。
「赤い髪で黒服を着た男性を知りません?」
「赤い髪に黒服?知らないわね。SPの人?黒子は?」
「知りませんわ」
「そうですか......全く手掛かりがありませんね......」
シュンと涙目になるクセっ毛のある女性。
露骨に落ち込む女性に御坂は、小動物感を覚える。
「どしたの?」
御坂がブラシを持ち上げて腰元に当てる。プールサイドに腰を下ろしている黒髪の女性が代わりに答えた。
「数日前に素行のよろしく無い男性に絡まれていた所をその赤い髪の男性が助けてくれたみたいでして......わた
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