第25話 プール掃除にて
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りよ」
佐天は、自分の腕を見つめた。
手から僅かに漏れている冷気。
「それに何か得られたかもだし」
少しだけ胸を張る。
「で、でも安静にしていませんと」
「大丈夫よ。すぐに部屋に戻るから」
「「佐天さん!」」
初春より遅れること2分程、御坂と白井も屋上に走ってきた。
「御坂さん!白井さん!」
元気そうに初春と会話をしている佐天の姿に二人揃ってホッとした。
やってきた初春と御坂、白井の姿を見ると制服は汚れ、傷だらけで包帯を巻いているのに気がついた。
「......!」
佐天は、哀しげに前に傾けて長い黒髪で顔を覆う。
あたしのせいだ
あたしが倒れたから初春達に
包帯だらけの身体に佐天の心はグサッときたらしい。
「ありがとうございました。あたしの身勝手で」
佐天は頭を下げた。御坂達は顔を見合わせて、元気の無くなった佐天に更に心配してしまう。
「いいから頭を上げてください!」
「つまんない事にこだわって、内緒でズルして......みんなを危険な目に合わせて」
後悔の渦に入った佐天に初春がギュッ抱き締めた。
「大丈夫ですよ佐天さん.....,佐天さん......良かったです。もう会えないかと思って不安だったんですからぁぁ!」
初春の目から涙が溢れ出てきた。
一時は、引き裂かれる恐怖に対する涙から歓喜の涙へと変わり、初春は佐天の着ている病院着に顔を押し付けてしゃくりを上げている。
「ちょっ!!初春、力が強いって!」
「良かったですぅぅー!」
初春の抱き締めに掛かる力が段々強くなり、佐天の復活したての身体をキリキリ締め上げる。
「一件落着ですわね」
「そうね。あとはサソリの身体が心配だわ」
「えっ?」
佐天の身体がピクッと反応した。
「そうですわね。私がしっかりしていれば」
サソリに幻術を掛けられたことを思い出す。正気に戻った時は全てが終わっていて、サソリは病院へ強制送還されていた。
万華鏡写輪眼の能力はサソリが居た忍の世界でも随一であるから、白井が幻術に掛かるのは仕方ないことではあるが。
腕から血を流しながらも懸命に立ち上がり、戦いに身を投じる。
白井より少し背が高いだけで、特別体格が良いとかでなく、どちらかと言えば華奢な身体に信じ難い程の重しを背負っているかのような背中。
寂しさ、消え入りそうは後ろ姿に我慢出来ずに白井はサソリの前に出ていた。
結果として、サソリの負荷を大きくしただけで自分では何も成し遂げていないように感じた。
「さ、サソリがどうかしたんですか!?」
初春に締め上げられながら、佐天が目を見開きながら訊いた。
「あ、えっと......ちょっと無茶をしてケガをしたのよ」
あまり詳細に話さない。余計な心配はかけたくないし、何よりサソリ自
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