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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十二話 ベーネミュンデ事件(その2)
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タール少将が口々に話す。

「ケスラー、卿はサイオキシン麻薬事件では中将と一緒だったな。本当のところはどうなのだ」
明確に否定する必要が有るだろうな。放置すると私が彼に恨まれる。
「小官の知る限り、中将が皇帝の闇の左手などという事はありません」

「今回の一件、国務尚書の依頼と言っていましたが……」
「ベーネミュンデ侯爵夫人、グリューネワルト伯爵夫人、どちらも陛下にかかわりのある方です。となると……」
「闇の左手か……」
いかん。皆どうしてもそこにもっていきたいようだ。私のせいじゃないぞ、ヴァレンシュタイン、普段の卿の行いのせいだ。とはいっても何とかしないといかん。困ったもんだ……。






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