第55話
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グナートの頼みにエステルは頷こうとしたその時、アガットは目を伏せて断った。
「ちょ、ちょっと!?」
「アガットさん……」
(ふむ、やはり物では誠意は伝わらぬという事か?)
「そういう意味じゃねえ。この大きさだと………1つ、1千万ミラといった所か。1万分の1でいい。これと同じ結晶を寄越しな。」
「へ………?」
アガットの訳のわからない提案にエステルは首を傾げた。
「犯罪でも絡まない限り、遊撃士を雇うのは有料でな。品物の運搬料だったら1000ミラ貰えりゃ充分だ。それさえ払えば引き受けてやるよ。」
「あ……」
「まったくもう……。素直じゃないんだから。」
「ったく、一瞬ビビっただろうが……」
「フフ、竜の依頼を請けるなんて、歴史上初めてかもしれないわね。」
(ふむ、そういう事か。それでは受け取るがいい。)
アガットの説明にティータは安心し、エステルとルークは呆れながら安堵の溜息を吐き、アーシアは微笑み、レグナートは頷いた後、アガットの手に小さな金色の結晶を出した。
「よし……契約成立だな。この2つは、責任をもって村長と市長に届けてやるぜ」
(うむ、頼んだぞ。ふふ……しかし、先ほどの一撃は中々だったぞ。銀の剣士と戦っていた時は何とも頼りなかったが……。一皮剥けたようではないか。)
「なっ……」
「まさか廃坑の事を覚えているのか?」
レグナートの念話を聞いたアガットは驚き、ルークは目を丸くして尋ねた。
(操られてはいたが、意識は残っていたからな。小さき娘よ。おぬしの勇気と健気さにはなかなか感服させられた。ふふ……だから人間というのは面白い。)
「あ、あう……」
「あはは、意外とお茶目な所があるじゃない。」
レグナートの念話にティータは照れ、エステルは苦笑した。
(ふむ、そしておぬしは……。なるほど、道理で覚えのある匂いがするわけだ。”剣聖”の娘だな?)
「へ……!?」
「おいおい、どうしてオッサンを知ってやがる!?」
レグナートの口から出た意外な人物の異名を聞いたエステルは呆け、アガットは戸惑った様子で尋ねた。
(20年前、眠りにつく時、最後に会った人間の1人だ。剣の道を極めると言って無謀にも挑んできたのだが……。いまだ壮健でいるのか?)
「う、うん……。ピンピンしてるけど。……まさか竜とまで知り合いとは思わなかったわ。」
「さ、さすが父さん……」
「フフ、”剣聖”も昔は相当無茶をしたようね?」
レグナートの説明を聞いたエステルとルークは苦笑し、アーシアは微笑み
(なるほど……もしかしてエステルに”素質”
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