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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃T篇)
第62話
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のが筋のはずだ。」

「そ、そんなのおかしいです!たとえ血の繋がりがなくともシュバルツァー家の男子は兄様ただひとり……メンフィル帝国の法律でも、養子の家督相続はちゃんと認められているはずです!」

「それは大抵、引き取られた子が”相応の能力がある”場合だ。……唯の訓練兵である俺は違うだろう?」

「…………あ…………」

「12年前――――ユミル領主である父さんが拾った吹雪に埋もれていた”浮浪児”……自分の名前以外は覚えておらずどういった出自かもわからない……そんな子供を養子にして迎えたばかりに父さんは社交界のゴシップの的になった。常識外れの酔狂だの、よりにもよって”隠し子”だの……『高貴な血を一切引かぬ雑種を貴族に迎えるつもりか!』なんて難癖をつけた貴族もいたらしい。そして父さんは、そういった雑音が疎ましくなってしまって……ユミルから出ず、滅多に社交界に顔を出さなくなってしまった……」

「……っ!それは”エレボニア帝国貴族”だった頃の話です!今の私達は”メンフィル帝国貴族”!血統主義のエレボニアの貴族の方達と違い、実力主義のメンフィルの貴族の方達はそのような些細な事に影口を叩いていないと姉様から聞いております!」

リィンの説明を聞いたエリスは唇を噛みしめた後すぐに反論した。

「例えそうだとしてもこれ以上、俺はシュバルツァー家に迷惑をかけたくない。さすがに貰った性まで返すのは難しいだろうけど……それでもお前達の将来に迷惑をかけるのだけは避けたいんだ。来年は16歳―――社交界デビューの歳だろう?」

「…………!」

「だから、どうかわかって欲しい。…………家を出たとしてもユミルにはたまに顔を出すつもりだ。父さんと母さんにだって育ててもらった恩はずっと―――」

「…………わかってない。」

リィンの答えをこれ以上聞きたくないかのようにエリスは首を横に振って呟いた。



「え。」

「兄様、ぜんぜんわかってない……父様の気持ちも……母様の気持ちも…………姉様とわたしの気持ちも………」

「エリス……?」

エリスの様子を不思議に思ったリィンがエリスを見つめたその時

「兄様のバカッ…………!朴念仁!分からず屋!大ッキライ!!!」

「…………あ…………」

エリスが悲しそうな表情でリィンを睨んで声を上げた後、その場から走り去った…………!
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