第60話
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カノーネの言葉にユリアは目をそらし、クローゼは目を閉じて何も言わなかった。
「はは、カノーネ大尉。あまり絡むものではないな。ただ、陛下をお守りする親衛隊が他の仕事をするのも感心はしない。後の調査は我々が引き継ぐからレイストン要塞に向かいたまえ。そこで、市長たちの身柄を預からせてもらうとしよう。」
「は……了解しました。」
「我々はこれで失礼するよ。親衛隊と遊撃士の諸君。それから制服のお嬢さん……」
「………………………………」
リシャールは一瞬クローゼに意味ありげな顔を向けて言った。顔を向けられたクローゼは何も言わず笑顔で会釈をした。
「……機会があったらまた会うこともあるだろう。それでは、さらばだ。」
「フフ、ごきげんよう。」
そしてリシャールはカノーネを連れて発着場から去った。
「気のせいかもしれないけど……。今、リシャール大佐、クローゼの方を見ていなかった?」
「そ、そうでしょうか?」
「………………………………。確かに、こういう場所に君みたいな学生がいるのはあまりないことだろうからね。不思議に思われたのも無理ないよ。」
「あ、あはは……本当にそうですよね。ちょっと反省です……」
「うーん、そんな雰囲気じゃなかったような……」
ヨシュアの言葉にクローゼは苦笑し、エステルは腑に落ちていない様子だった。
「……自分に言わせれば君たちだって充分驚きの対象だ。いくら遊撃士とはいえその若さでここまで活躍するとは……。できれば親衛隊にスカウトしたいくらいさ。」
「や、やだな〜。そんなにおだてないで下さいよ。今度の事件だって色んな人に助けてもらったし。」
ユリアの賛辞にエステルは照れながら答えた。
「そう謙遜するものではない。まだ準遊撃士のようだが正遊撃士は目指さないのかな?」
「あ、今ちょうどそれを目指して修行中なんです。」
「女王生誕祭が始まるまで一通り国内を回ってみるつもりです。」
「そうか……自分も応援しているよ。」
その時、アルセイユから親衛隊員がユリアを呼んだ。
「ユリア隊長!出航の準備が整いました。」
「ああ、わかった。エステル君、ヨシュア君。……それとクローゼ君も。そろそろ我々は失礼する。機会があったらまた会おう。」
「あ、はい!」
「その時は宜しくお願いします。」
「……ありがとうございました。」
エステル達の別れの言葉を聞いたユリアは親衛隊員達が待つアルセイユのデッキに戻った。
「隊士一同、敬礼!」
ユリアがそう言うと、ファンファーレを鳴らしながら、親衛隊員達が敬礼をした。
「わわっ……」
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