第60話
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……………」
ユリアの言葉にエステルは緊張がとれたように、肩の力が抜けて安心した。またクローゼはエステルの言葉に照れた表情をした。
「ところで中尉さん。1つお願いがあるんですがね。」
そこにちゃっかりエステル達に着いて来て、その場にいるナイアルがユリアに尋ねた。
「なにかな、記者殿?」
「できれば俺も、そちらの船に乗せてくれませんかねぇ?何と言っても、ツァイス中央工房が世に送り出す最新鋭の飛行船だ。ぜひとも取材させて欲しいんですよ。」
「申しわけないがお断りさせていただこう。この『アルセイユ』は先日、艤装が終わったばかりで試験飛行を行っている段階なのだ。正式なお披露目が行われるまでどうか報道は控えていただきたい。」
「そ、そこを何とか!逮捕された市長や秘書からもコメントを貰いたいところだし……」
ユリアの断りの言葉にナイアルは食い下がった。
「心配せずとも、判明した事実は王都の通信社にもお伝えしよう。そのあたりで勘弁して欲しい。」
「はあ〜、仕方ないか。よし、こうしちゃいられん!記事を書いたら大急ぎで王都に戻るしかっ!そんじゃあ、失礼するぜ!」
ユリアの答えを聞いたナイアルは諦めて溜息をついた後、その場を走り去った。
「相変わらず逞しいっていうかめげないっていうか……」
「はは……でもナイアルさんらしいね。」
ナイアルの行動にエステルとヨシュアは苦笑した。
「『リベール通信』の発行部数は最近うなぎ上りだと聞いている。彼には、プロパガンダに囚われない記事を書いて欲しいものだが……」
「政治的宣伝……?」
「いや……」
首を傾げて気になった言葉を繰り返したヨシュアを見て、ユリアは顔を伏せた。そこにカノーネを連れたリシャールが現れた。
「お手柄だったようだね。シュバルツ中尉。」
「こ、これは大佐殿……!」
「ああっ!」
「リシャール大佐……」
「ほう、いつぞやの……。なるほど、ギルドの連絡にあった新人遊撃士とは君たちのことだったか。」
リシャールはエステル達を見て頷いた。
「え……。ジャンさんが連絡したのってリシャール大佐のことだったの?」
「ああ、王国軍の司令部があるレイストン要塞に連絡が入ってね。慌てて駆けつけてみればすでに事が終わっていたとはな。見事な手際だ、シュバルツ中尉。」
「は、恐縮です……」
「フフ、でも不思議ですこと。王都にいる親衛隊の方々がこんな所に来ているなんて……。どうやら、我々情報部も知らない独自のルートをお持ちのようね?」
「お、お戯れを……」
「………………………………」
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